講師の中村です。
これからギターを始めるにあたって、「楽譜をちゃんと読めるようになるのか」と不安になる方が多いと思います。
実は数ある楽器の中でもギターは”楽譜が読めなくてもある程度弾けてしまう”という珍しい楽器です。なので、ギターを弾くために読む訓練をする必要はありませんし、読めないままでもさほど不自由はしません。プロでも読めない人は結構多いです。
ただしさらに上達したい人、生兵法を脱したい人はやはりちゃんと読めるようになった方がいいです。
今回は楽譜とギターの関係について考えを書きます。
目次
ギターで使う楽譜の種類
ギターに関連する楽譜はおよそ6種類あります。
- コード譜
- TAB譜
- リード・シート (Cメロ譜 )
- 五線譜
- ハコ譜
- リズム譜
以下でそれぞれの楽譜の特徴と簡単な読み方を解説していきます。
①コード譜
独学の方、ライブを頻繁にされる方が最も使うのはコード譜だと思います。
U-FRETなどで表示される最も典型的な歌詞+コード名の、省スペース楽譜です。ペライチで収まるのでライブでは譜めくりの手間が省けて便利です。まぁ、これを楽譜と呼んでいいかは賛否があると思いますが…。
僕のレッスンではこのタイプは使いません。小節線 (小節を区切る縦線)がないとリズムの説明がしづらいのと、コード譜しか読めない人は総じてリズム感が養われづらい傾向があるからです。
②TAB譜
ギター初心者~中級者に最も馴染みやすいのがこちらのタイプ。
弦楽器用の楽譜を英語で”タブラチャー”というので、それを略してTAB譜です。演奏に関する情報を数字で表しており、五線譜と比べると視認性が高い楽譜なので、「ドレミが分からない」「五線譜が苦手」という方でも始められる書き方になります。座標を読むみたいで最初は難しいんですが、長くギターをやっていく上ではひとまずこれが読めたら十分。
僕のレッスンではエレキギターやフィンガースタイルを習っている方向けに五線譜+TAB譜の書式を使用します (下の画像)。TAB譜だけだと音価 (音の長さ)を読み取りづらかったり、メロディと伴奏の弾き分けができなくなるので、レッスンでTAB譜は五線譜とセットで使うことが基本となります。
③リード・シート (Cメロ譜)
ギター用の楽譜で最もよく使われるのは恐らくこのリード・シート。
別名Cメロ譜と呼ばれていて、これはコード+メロディのみを記載した簡易な書き方がされています。
僕のレッスンでは弾き語りの生徒さんがこのタイプの楽譜を使用します。コード図 (ダイアグラム)と歌詞、一部イレギュラーな弾き方をする箇所にはリズム譜を書き加えたハイブリッドな形でお作りしています。この楽譜におけるメロディ部分はほとんど歌詞の音価を確認するためだけに入力しているようなものなので、実際にドレミを読で弾く必要はありません。
④五線譜
五線譜は、全ての楽器で使われる楽譜になります。
一般的に楽譜というと五線譜を指すことが多いです。音の高さを黒丸の位置で表したり、強弱記号などが記載されています。ギターの場合、指番号まで書かれていたりすることもあり、情報量がとにかく多いのがこのタイプです。しかしポップスや弾き語りを楽しみたいだけなら、ギタリストがこれをスラスラ読める必要はありません。
僕のレッスンでもほとんどこのタイプは使いません。
⑤ハコ譜
最もシンプルな楽譜はこのハコ譜。
コード+小節線という必要最低限の情報のみで構成されていて、ある程度できる人向けの楽譜ッて感じです。親切な人ならこれに一部リズム譜を書き加えてくれています。上の画像は丁寧な方です。
レッスンではこのタイプを使うことはありませんが、以前やってたブライダルやBGMなどの営業演奏ではこの楽譜を使うことがザラでした。
⑥リズム譜
リズム譜は下記のようなタイプの書き方です。
これ単体では楽譜として成立しづらく、上記のリード・シートやハコ譜の中に必要最低限のリズム情報だけ書き込む形でよく出てきます。要するに楽譜中に伴奏用のメモとして使用されます。
楽譜を読めるとどうなる?
最初にも書いたように、ギターは楽譜が読めなくてもある程度まで弾けてしまう特異性があります。現にギターで五線譜を読む機会そのものがほとんどありませんからね。そう聞くと「じゃぁ楽譜を学ぶ意味なんてないな」と思うのが自然です。が、それは英会話で例えると「文字は読めないけど、簡単な会話なら喋れる」というレベルで、ビジネスで使えるかというと厳しい場面があると思います。なので、この先プロになりたい方や曲を作りたい方、仕事として演奏依頼を受けたい方や指導者を目指している方、さらにレベルアップしたい受講生にとって楽譜を読む訓練をすることは非常に重要です。
じゃ、楽譜 (五線譜)がちゃんと読めると何が身につくか?というと、①マルチタスク力、②視覚的音楽理解、③想像力の向上の3点だと僕は考えます。楽譜ッて一度に複数の情報を処理しますし、その上演奏までするとなると、かなりのマルチタスクになるため相当認知機能が鍛えられます。それに、その楽譜に書かれた情報から表現の方向性を理解し、作者が伝えたいことを再現するための表現力も身につきます。作曲の先生なんかは、実演しなくてもその曲がどんなものか分かるともいうので、想像力もかなり養われそうです。
なぜそのようなスキルにつながるかといえば、楽譜には
- 音の高さ
- 音の長さ
- 曲の速さ
- 曲の構成
- 曲の感情
- 演奏テクニック
などといった、演奏上極めて重要なデータや指示が書かれているからです。
楽譜を学ぶタイミングは「気になりだしてから」でOK
僕が自分の受講生によく言うのは、「説明より実践」です。楽譜は単なる説明書にすぎませんので、実践 (演奏)ありきで考えるのが理想。例えば、自転車に乗れるようになりたい人に、タイヤの構造、ブレーキの仕組み、重心移動の理論などをいくら説明しても乗れるようにはならないです。それよりも、まず乗る。転ぶ。また乗る。そうやって実践していく過程で、気になったことを説明書や理論本で確認すればいいのです。ギターも同じ。まずは曲を弾いてみること。楽譜の勉強は後からでも十分間に合います。
ではどのタイミングで楽譜を意識するのがいいか?それは、「気になりだしてから」で十分遅くないと思います。演奏を楽しんでいくうち次第に、ギターや音楽の仕組みの部分に疑問を持つようになります。そうなった場合、あなたは初心者を脱して中級者の入口に立っていると考えてください。
ただし上記の内容を独学で取り組む場合、正しく理解するにはかなり時間がかかります (レッスンしててもすぐには腹落ちしません)。ですが前進する方法はあります。ポイントは、一度に色々手を出さないことです。教則本や楽典を、律儀に1ページ目から読み込む、などといった行為は愚かなのでおやめください。
手順は①繰り返し記号を覚えて、②ギターの指板を覚えるです。詳しいことはまたいつか記事にします。
見づらい楽譜
残念なことに、楽譜は書き手によって見やすさが全然違います…。
- コード名がついてない
- レッテル (セクション名)が左側にない
- 調号がついてない
- BPMが書いてない…など
こういった楽譜はよくないです。楽譜は人に共有するためにあるので、誰が見ても分かるようになっていない書き方や本来あるべきものがない書き方ではいい楽譜とはいえません。そんなホスピタリティに欠けたものが普通に販売されているのは残念です。誰が見ても分かるようにする…これは社会人Lv.1で覚える技だと思います。
Midville’sでは浄書サービスも行っておりますので、お気軽にご相談ください。見やすいものをお作りします。
今日のテーマはちょっと難しかったかもしれませんが、言いたいことは楽譜が読めないことを理由にギターを諦める必要はないということです。実際、多くのギタリストはTAB譜やコード譜からスタートしていますし、五線譜やリード・シートすら読めないプロもたくさんいます。もちろん、将来的には五線譜も読めた方が便利です。でも最初から全部理解しようとしなくて大丈夫です。
まずは好きな曲を1曲弾いてみること。
楽譜を読む力は、その後ゆっくり身につけても遅くありません。
Midville’s
中村


