講師の中村です。
別の記事でも触れましたが、初めてのギター選びは予算内で見た目が好みのものを選んだ方が後悔が少ないだろうと思います。しかし、エレキギターにはいくつかの種類があり、構造をちょっと知っているとより選びやすくなります。
今回は、エレキギター選びで失敗しないための構造の基本と、初心者が長く付き合える機材選びの基準を解説します。
目次
エレキギターの音はピックアップで変わる
エレキギターの音色を大きく左右するのが、ボディの中央についているマイクの役割を果たすピックアップ (PU))です。金属弦の振動を磁石に伝えて、それを電気信号に変えるこのパーツには、大きく分けて3つのタイプがあり、それぞれ全く音色の傾向が異なります。自分が弾きたい音楽がどちらに近いかを知ることが、後悔しない楽器選びの第一歩です。
① シングル・コイル
- 見た目: 細長く、磁石が1列に並んでいる
- 音の特徴: ジャキジャキとしたシャープで歯切れのいい音や、透明感のある繊細な音が出せる
- 向いているジャンル: ポップス、カントリー、ファンクなど
高音に特徴があり、全体的に軽い音です。ノイズには多少弱い部分があります。
② ハムバッカー
- 見た目: シングルコイルを2つ分結合させたもの (左)またはその上から長方形のカバーをつけたもの (右)
- 音の特徴: ノイズが少なく、太く温かみのある音で、強く歪ませても音が潰れにくい
- 向いているジャンル: ハードロック、パンク、メタル、ジャズ (甘いクリーン音)
シングル・コイルよりも全体的に”重い音”です。低音もしっかり出るため、クリーン (無加工の音)なら甘いトーンになりますし歪ませればパンチのある音が作れます。
③P-90
- 見た目: シングル・コイルより大きく、ハムバッカーより小さい、プラスチックの四角いカバー (石鹸の形に似ていることからソープバーと呼ばれています)
- 音の特徴: 構造上はシングル・コイルですが、作りが少し異なっているため、シングル特有の歯切れの良さやアタック感に加えて、ハムバッカーのような太く甘い粘り気も持ち合わせています。
- 向いているジャンル: ガレージ・ロック、ブルース、ルーツ・ロック、ジャズなど
クリーンでも歪ませてもいい音です。泥臭く弾きたいルーツ系のジャンルにも合いますし、ポップスでも歌ものの伴奏に最適です。
これらの違いについてはもっと詳しく解説しているサイトはいくらでもあると思うのですが、簡単にいうとこんな感じです。
代表的なボディシェイプと音の特徴を簡単に紹介
エレキギターはさらに、ボディ・シェイプによっても音が変わります。上記のピックアップの違いを踏まえた上で、代表的なギターのシェイプを見ていきましょう。
ストラトキャスター
Fender (フェンダー)社の創設者Leo Fender (レオ・フェンダー)らによって考案された最もオーソドックスなボディ・シェイプです。シングル・コイルのピックアップを3つ (ネック / センター / ブリッジ)搭載していおり、ジャキジャキ、ザクザクとした音から甘めのトーンまで音色のバリエーションが豊富です。
ボディの裏には身体にフィットするコンター加工 (下の画像)が施されており、構えやすさも抜群です。ジャンルが決まっていない人に最も扱いやすい万能選手です。
テレキャスター
同じくLeo Fender考案のギター。ストラトよりも構造がシンプルで、高音域に特徴があり独特の歯切れのよさがあります。コード弾き (ストローク)や歌の伴奏によく映えるため、ギタボ (ギター&ボーカル)にも人気です。
ストラトとは異なり、ピックアップは2つしかついていないことが多いです。シングル・コイルを採用するのがオーソドックスですが、ハムバッカー仕様になっているモデルも存在しており、そのクセのあるサウンドには根強いファンも一定数います (邪道だと考える人も多いですが)。
ジャズマスター
Fender社が作ったジャズ・プレイヤー向けのモデルです。シューゲイザーやネオソウルなど、美しいギターの音色を生かしたジャンルでは多用されますが、強いピッキングによる”弦落ち”やノイズへの耐性のなさ、トレモロ・アーム利用時のチューニングのズレなどの理由からユーザーは少なく、”定番”とはちょっと違うポジションにあるギターです。ジャズマスターにはシングル・コイルのピックアップが2つついていますが、通常よりも少し大きくなっておりストラトキャスターやテレキャスターとはまた違った「キレイな音」が特徴です。
ジャガー
上記ジャズマスターを改良し、Fenderの最上位機種として位置付けられたギター。見た目はジャズマスターと似ていますが、弦長 (スケール)が短くなっており手が小さい人でも弾きやすい仕様に変わったのと、ピックアップ (基本はシングル・コイル2つ、稀にハムバッカー)には特有の”ヨーク”というパーツがついており、これによってノイズ耐性が高まった点が改良されました。また、ネックが細くなった点やフレットの数が増えた点など、いい部分も増えた反面、弦落ちのリスクが改良されなかったことやスイッチ類が増えて操作がややこしくなったことなども加わり、そこまで強い人気はありません。
サウンド面に関しては高音域にかなり特徴が出ただけでなく、ローカット・スイッチが搭載されて余計な低音を削ることができるようになったので、キラキラ/シャリシャリとした唯一無二のサウンドが実現しました。個人的には、見た目通りのレトロなサウンドが好きです。
このジャガーを”初心者向け”に作り直したムスタングという機種も存在します (下の画像)。見た目や基本仕様はジャガーと似ていますが、ジャズマスターの欠点を結構そのまま引き継いでしまったのと、初心者向けにも関わらず値段はしっかりと上級者向けです。
レスポール
ギタリストLes Paul (レス・ポール)とGibson (ギブソン)社の共同開発によって生まれたギター、レスポール。ハムバッカーを2つ搭載しています。ボディには重厚な木材を使用しているため、太くサステイン (余韻)が豊かなサウンドを出すことができます。歪ませればロック・サウンドに最適です。やりたい音楽がロック系であれば、レスポールがオススメです。
SG
レスポールと同じくGibson社によって作られているSG。レスポールと違ってボディが軽く、逆にネックが重たく感じる小ぶりなシェイプです。鬼の顔のように赤いボディと尖ったダブルカッタウェイが特徴的です。ネックが長く、使えるフレット数が多いため、よりハイフレットでソロを弾きたい技巧派の人たちに人気です。ピックアップはハムバッカーを2つ搭載しており (P90の場合もある)、中音域がほどよく膨らみ歪ませると粒立ちのいいパンチのある音が魅力です。見た目とは裏腹に、クリーンだととっても甘い音がします。僕は案外SGのクリーンは好きです。
フルホロウ
バイオリンやチェロのような見た目で、中が完全に空洞になっているエレキギターをフルホロウ・ギターと言います。日本では”フルアコ”などとも呼ばれています。ジャズ、ソウル、R&B、ロカビリーなどのジャンルで多用され、Gibson社のSuper400 (スーパー400)、Epiphone (エピフォン)社のCasino (カジノ)が代表的なモデルですが、Gretsch (グレッチ)やIbanez (アイバニーズ)、D’angelico (ディアンジェリコ)などのメーカーもかなり人気です。ほとんどのギターにハムバッカーが1つまたは2つ搭載されています (稀にP-90が1-2個)。低音域から中音域にかけて強い特徴があり、輪郭がボヤけたモコモコした音が特徴です。またレスポールやSGとは異なりサスティーンはそれほどありません。
セミホロウ
フルホロウと見た目の区別がつきづらいですが、薄型で内部が完全に空洞になっておらず、ボディの真ん中に木のブロックが入っているものをセミホロウ・ギター、もしくは”セミアコ”と呼びます (※薄型でもフルホロウのものもあります)。
ジャズ、R&B、ファンク、ソウル、フュージョンなどのジャンルで多用され、Gibson社のES335が最も有名なモデルです。ピックアップは主にハムバッカーかP-90が2つ搭載されており、中音域〜高音域にやや特徴を持ちます。ちょうどレスポールとフルホロウのいいとこ取りをしたようなサウンドなので、意外とオールマイティなんです。
ディンキー
ディンキーは上記以外のギターの総称です。IbanezやAriaなどから出ている”ストラトを小ぶりにして、デザインをよりモダンにしたギター”はだいたいディンキーに分類されると考えていいと思います。オーソドックスや伝統から逸脱した自由なデザインで、選択肢が非常に多いので見た目で選びやすいと思います。しかしそれぞれのモデルのコンセプトがあるため一概にどのジャンルが適しているとか、どのピックアップがついているなどの傾向についての言及が難しいです。
アンプ選びの基準と、”初心者セット”をオススメしない理由
アンプを選ぶ際に気になるのは値段と近所迷惑の2点かと思います。しかし、最近のアンプはヘッドホン端子がついているので、値段との折り合いさえつけば”機能”で選んでしまって問題ないと僕は考えています。
では何の機能があればいいのか?という点に関しては下記を参考にしてください。
- 手元で音作りができるデジタルアンプ (アプリと連動できるとなおヨシ)
- ヘッドフォン端子の搭載 (夜間練習に最適)
- Bluetooth機能 (スマホから音源を流しながら一緒に練習できると便利)
- スピーカーのサイズができれば5インチ以上
ギター本体に予算を集中させるのも手ですが、アンプはほとんど買い替えることのないアイテムなので、ある程度予算を割いて長く使うことを想定する方がきっと楽しいと思います。結局ギターの音を作るのはアンプやエフェクターですからね。
こちらはNUX (ニューエックス)社のMighty Air (マイティ・エアー)というモデルです。Midville’sのECサイト: Midville’s Guitarsで扱っています。スピーカーのサイズは2インチで小さいですが、それ以外の3つの条件はクリアしていますし、その上充電式であることやワイヤレスで接続できる点、メトロノーム搭載している点などを含めてかなり自宅練習を捗らせてくれる最高のアンプです。
よくネットで「ギター+超小型アンプ+おまけ数十点」がセットになった数万円のものが売られていますが、指導者として僕はこれらを積極的にはオススメしていません。理由はシンプルで、付属してくる超小型アンプがしょうもなさすぎるからです。僕もギター始めたばかりの頃はその手のアンプを使っていましたが、アンプの良し悪しでエレキギターの楽しさの半分以上を左右することに気付いてからは、自宅用で使える小さなアンプの中でも割合ちゃんとしたものを手に入れました。じゃないと、エレキギターを弾く心地よさが得られず、練習のモチベーションが下がってしまうのです。
しょうもないアンプを使っている人は、実際にスタジオに入ってMarshallやRolandのアンプを目の前にして、自分で音作りができなくて人生終了してしまいます。一般的なギターのレッスンでは基本的な使い方を必ず指導するはずなので、是非お近くの先生を頼ってみてください。もしくはMidville’sの体験レッスンへお越しください。
Midville’s
中村
