Fコードで挫折する前に知ってほしい「セーハの誤解」と一発で鳴る4つのコツ

講師の中村です。
ギター初心者がぶつかる「最初の壁」といえば、間違いなくFコードだと思います。「人差指1本で6本の弦を全部押さえるなんて人間業じゃない……」最初の頃はそう思うものです。この段階でギターを押し入れにしまってしまう人がどれだけ多いことか。

しかし、難しいことには当然コツがあります。Fコードが押さえられないのは、あなたの手の大きさや筋力のせいではありません。「何の疑いもなく教本通りに押さえようとしていること」こそが挫折の原因です。

今回は、一発で音が鳴るようになる4つのコツを解説します!

目次

    セーハは”制覇”じゃないから制覇しなくてよい

    人差指1本で6本の弦(あるいは6弦以外の5本)をすべて押さえることを「セーハ」と言います。日本語に似たようなニュアンスで「制覇」という言葉があるため、多くの方がこれを日本語の制覇と勘違いしています。意外と知られていないことですが、セーハはスペイン語で”ceja”と綴りまして、これは「ナット」を意味します。つまり、セーハ(ceja)は制覇ではないんです。

    ギターのナットとは弦の始まりを決めるために使われるパーツです。なので、言葉に惑わされて1つのフレットを丸々、力で制覇しようとせず、「弦の始まりを押さえる」という気持ちで取り組むと少し気持ちが楽になると思います。

    初心者が勘違いしている「人差指セーハ」の罠

    この”ceja(セーハ)”にはもう1つ、「眉」という意味もあります。したがって、「Fを押さえる際には眉のように指をアーチ状にカーブさせて押さえよう」と解説する講師がいますが、これは半分間違いです。

    大事なのは指の形にこだわることではなく、指板に人差指をシンデレラ・フィットさせること。指を曲げたまま押さえてしまうとこの画像のように、隙間ができる場合があります。

    そもそも人差指を曲げろと言われている理由は、ギターの指板の表面がカーブしているからです。このカーブを「R(ラジアス)」といい、数値化されています。数字が大きいほど平らに近くなります。

    実は最近のギターは大体「R12-16inch」となっており、どちらかというと平らに近いのです。なので、指を曲げても押さえが甘くなるだけでしっかりと負荷がかかりません。Fender系のギターでない限り、指はほぼ真っ直ぐに張った状態で押さえても問題ないと思います。

    一発で音を鳴らすためのコツ4選

    文章でコツを説明するのは非常に難しいのですが、今日は頑張って書いてみようと思います。以下、セーハ(またはバレー)のコツ4選です。

    コツ① 人差指は「側面」で押さえる

    Fを押さえたあと、弦の食い込み跡が指に残ると思います。それが指の真ん中についている人は、きっとキレイに音が鳴らないでしょう。もしくは鳴っても力で鳴らしているだけだと思われます。正しい食い込み跡の位置は、画像の右側ような場所です。

    画像の左側のように「指腹(しふく)」と呼ばれる柔らかい部位に跡が残ってしまうと、正しく音が出ません。この指腹は硬い弦を安定して押さえつけるのに適していません。しかし、右側の指の側面は指腹と比べると硬く、安定して押さえるのに向いています。

    ではどうやって側面で押さえるのでしょうか?ポイントは、肘を内側にしまうことです。

    肘を内側に折り畳めば、自ずと指は側面に傾くはずです。

    肘が内側に入らない人は、おそらくギターの構え方がよくないです。もし、ギターと自分が同じ方向を向いているなら、それはよくない構え方です。上手い人のを真似しましょう。

    写真は日本のスタジオ・ミュージシャンのトップ・プレイヤー小倉博和さんの演奏風景。この角度で見ると分かりやすいですが、小倉さんは僕たちに背中を向けているのに対して、ギターはしっかりと横を向いています。

    これくらい体とギターの向きは違うものなんです。この向きにすれば、肘をしまうスペースが確保され、指の側面で押さえることができ、Fが鳴りやすくなります。

    コツ② 人差指は”ほぼ”まっすぐに

    先ほども書きましたように、人差指は曲げずに、基本的には真っ直ぐにしておく方がいいです。そして、初心者の方に多いのは、第二関節をポキッと曲げる押さえ方です。

    これでは1-2弦側の音が出にくいです。

    まずは指をもう少し奥まで突っ込んであげるといいです。第一関節がはみ出るくらいでいいです。そうすると指の根元まで弦に触れると思います。あとは肩をグッと落として、肘を下げ、内側に入れること。

    コツ③ 親指を出すな

    このコツには賛否あるかと思いますが、僕はレッスンで「親指を使ったFの押さえ方」を教えません。というか、そもそも親指は正面からあまり見えないようにするべき、と考えています。

    全く出さずに弾き続けるのは当然無理ですが、Fコードでは親指が正面から見えている状態は他のコードへの移動 (または他のコードからの移動)でやや不便します。

    「親指が見えていること=悪」ではありませんが、出過ぎている人はちょっと下げておく努力をすると変わると思います。

    また、親指を横に寝かせるのもナシです。下の図で言うと、親指の位置は赤い文字で書いてある位置にある方がよく、青文字の位置に親指がある場合、小指の動きをかなり制限します。

    コツ④ フレットから離れるな

    弦はフレットと当たることによって音が出ます。なので、この画像のようにフレットの近くで弦を鳴らす方が弱い力で音が鳴ってくれます。

    だからと言って全ての指の位置をフレットのギリギリの場所で押さえることは難しいですが、Fコードの場合は一番難しいとされる人差指の押さえる位置をフレットのギリギリの場所にしておけば、かなり勝率が上がります。

    精度にこだわるな

    これはたびたび僕の記事で申し上げていることですが、Fが弾けるようになるかどうかはほぼ時間が解決します。ウチの生徒さんたちを見ててもそうです。たいていの人は今無理だと思っていても、いずれ鳴るようになりますし、仮に不完全なままでも文脈さえしっかりしていれば及第点です。ちょっとした精度にこだわりすぎてイヤになってしまわないよう、ほどほどにしておきましょう。

    まぁ、こーゆうことは、レッスンで直接見てあげたいのが本音のところです。Fでつまずいている方は、こちらの記事も併せてお読みください。

    コードの押さえ方は、手首の角度や肘の位置、親指の使い方をほんの数ミリ調整するだけで、嘘みたいにスルッと音が鳴るようになることがよくあります。YouTubeやブログを何時間も見るより、レッスンで僕が皆さんの手元を直接見てフォームを微調整するほうが、多分早いと思います。ぜひ体感してください。

    Midville’s
    中村