講師の中村です。
時にみなさん、こんなことを考えていませんか。
「ギターを始めたいけど、学校の音楽の授業で楽譜が読めなかったから不安……」
「おたまじゃくし (五線譜)を見ただけで頭が痛くなる……」
結論から言いますが、ギターを弾くのに、五線譜 (ドレミファソラシド)が読めなくても一旦問題ありません。なぜなら、ギターには「TAB譜」という、超直感的で分かりやすいギター専用の楽譜があるからです。今回は「五線譜アレルギー」のあなたでも、10分読めば今日からすぐにTAB譜が読めるようになる超基本を解説します。
目次
ギターを弾くのに「五線譜」は一旦不要
ピアノや吹奏楽などで使われる「五線譜 (上の画像)」は、ドレミファソラシの「音の高さと長さ」を表すものです。しかし、ギターという楽器は「同じ高さの音が、指板上に複数同居している」という非常にややこしい構造をしています。そのため、五線譜で「ド」と書かれていても、ギターのどの弦のどのフレットを押さえればいいのかいいのか一瞬で判断するのが難しいのです。
そこで登場するのが「TAB譜」です。TABとは弦楽器用の楽譜を意味する”Tablature (タブラチャー)”を省略した言い方です (海外でも”Tabs”で通じます)。TAB譜は「どの音を出すか」ではなく、「何番目の弦の、何番目のフレットを押さえるか」をそのまま映し出した設計図です。つまり、楽譜というより「プラモデルの組み立て説明書」や「音ゲーの画面」に近い感覚で読める優れもの。
10分で覚えられるTAB譜の基本的な見方と読み方
さっそく実物を見てみましょう。TAB譜は横線が6本並んでいます。この6本の横線は、ギターの6本の弦を表しています。
- 横線 (6本): ギターの弦 (上から1弦、一番下が6弦)
- 線の上にある数字: 押さえるフレットの番号 (0は何も押さえないで弾く「開放弦」)
例えば、上から3番目の線に「7」と書かれていたら、「3弦の7フレットを押さえて弾く」という意味になります。どうですか? ドレミファソラシドを覚える必要なんて、一旦ないですよね。
初心者が陥りがちな「上下逆さま」の罠
ここで、初心者の皆さんが一度は陥るであろう「最大の注意点」をお話しします。それは、「TAB譜の”一番上の線”は、ギターの”一番下にある弦 (1弦)”である」ということです。ギターを構えた時、自分から見て一番「上」にある太い弦は6弦ですよね。
しかし、TAB譜では上が「1弦 (一番細い弦)」、下が「6弦 (一番太い弦)」になっています。ここを勘違いして「一番上の線だから、自分から見て一番上の太い弦 (6弦)を押さえよう!」としてしまうと、全く違う音が出てしまいます。
全体像より目印に惑わされやすい方や自分中心で空間を把握している方は、TAB譜の上下をつかむのに時間がかかると思います。余談ですが、なぜかTAB譜やコードのダイアグラムを読み取るのが苦手な人は、地図を読むのが苦手という共有点を持っている傾向があります。
さて閑話休題、”TAB譜の上下問題”は案外簡単に解決します。お手持ちのギターを仰向けに膝枕させてください。
こうすると、上が1弦、下が6弦…TAB譜と同じ向きになります。わからなくなったら、ギターを膝の上で仰向けにしましょう。あとはそのうち慣れます。
TAB譜に書かれている「数字」と「記号」の意味
TAB譜には数字のほかに、時々アルファベットや記号が書かれています。最初はすべて覚える必要はありませんが、よく出てくる代表的なものを3つだけ紹介します。
- 「S」(スライド)
指を滑らせて違う弦に移動する。 - 「H」(ハンマリング・オン)
弦を弾いた後、指で指板をハンマーのように叩いて音を出すテクニック。 - 「P」(プリング・オフ)
押さえている指を引っ掻くように離して音を出すテクニック。
こういう記号が出てきたら、「あ、なんかテクニック使うんだな」程度に最初は思っておけばOKです。
TAB譜の弊害
TAB譜には欠点もあります。それは”ドレミ”が分からないまま演奏をしてしまうという部分です。世界広しといえども、ドレミが分からずに和音を鳴らしているのはギターやウクレレなどのフレット楽器くらいでしょう。誰かとバンドを組むとなった際に、他の人たちが話している内容についていけなかったり、カポのせいで自分だけキーの違う話をしてしまうということも起こり得ます。分からない人と話すと時間がかかるので、若い時はそれにイライラして「テメー楽譜読めねーなら構成とかアレンジに口出しすんじゃねーよ」と思ったものですが、今はそーゆう機会もかなり減りましたね。
まぁ、仕事で出会う人の中にはTAB譜すら読めない人もいて、そーゆう人は結構困ります。以前ブライダルの現場で「初めまして」の人たちと一緒に演奏していた頃、音程や用語が分からず足を引っ張ってしまう若い奏者がいて、非常にピリピリした挙式の生演奏をしたことがあります。(新郎新婦とも「初めまして」なのに。)
欠点はあるとはいえ、TAB譜だけでも読めたら一旦OKです。それならギターやベースの話はできますからね。ただ”音楽の話”をするなら、五線譜の読み方や内容を理解する土台はあった方がいい、というニュアンスです。
楽譜は再現するものではなく、超えるもの
TAB譜でも五線譜でも、読めるようになるとそれだけで資産になります。なぜならそれは「繰り返し使える知識」だから。一度読み方さえ覚えてしまえば、楽譜さえあればどんな曲でもチャレンジできるのです。レッスンを辞めた後でも、楽譜の読み方だけでも頭に残っていれば、それはお金を払って訓練した甲斐があると思いませんか。
もちろん、耳コピが悪いワケではありません。演奏家たる者、最終的には耳で判断しなければいけませんから。しかし、”耳コピだけ”では非効率なのです。記録も保管もできないので、全て暗譜しなければなりませんから。
ここで僕からひとつ、どうしてもお伝えしたいのは、「楽譜を再現することに必死になるな」ということです。このアドバイスは、TAB譜であろうが五線譜であろうが同じです。楽譜があればなんでも弾けるかもしれませんが、その楽譜に書かれてある情報は原則として「誰が弾いても同じになる最低限の設計書」にすぎません。しかし音楽で大事なのは、その楽曲を演奏者 (あなた”のフィルターを通した結果どうなるか?が大事なのです。
楽譜は再現するためのものではなく、超えるためにあると思って取り組んでください。
ところで、”一旦”ッてどーゆう意味?
今回の記事で僕は何度か「五線譜は読めなくても一旦大丈夫」と言ってきました。文字通り”最初から無理に覚える必要はない”という考えです。音楽教室によってはTAB譜を使わないところもあります (僕の先生はそうでした)し、結局五線譜をマトモに読める状態が理想ではあるのです。
ただ物事には順序があります。五線譜をマスターするのは時間もかかりますしハッキリ言って退屈です。ギターを始めたばかりの頃は楽しい時期ですから、そのワクワクを潰さないためにも一旦TAB譜で慣れとく期間が必要だと僕は考えています。ただ、TAB譜は弦楽器用の楽譜なので弦楽器同士でしか伝わらない言語であるのに対してハイレベルな内容になると音楽の深い部分になるので、全楽器の共通言語である五線譜を知っておく必要があります。スラスラ読める必要はありませんが、そこに何が書いてあるかを読み取る力だけでも持っておくとあとあと便利です。
「TAB譜の仕組みは分かったけど、リズム(音符の長さ)の読み方が怪しい……」
「実際に楽譜を見ながら弾こうとすると指が動かない」
という方、当教室の体験レッスンでは、あなたが弾きたい曲のTAB譜を用意して、「見方・押さえ方・リズムの取り方」をその場でマンツーマン解説します。
楽譜を読むのが苦手な方でも、1回のレッスンで「あ、こうやって読めばいいのか」と見通しが明るくなると思います。
Midville’s
中村
