Fコードが押さえられない人、ちょっとこちらへ

講師の中村です。

ギター初心者の方から最も多く聞かれる悩みのひとつが、「Fコードが押さえられません」というものです。今も昔も変わらず、みんな同じ壁にぶつかります。いわば通過儀礼のようなものです。実際、Fコードで検索してこの記事にたどり着いた方も多いのではないでしょうか?

しかしながら僕自身、Fコードで苦労した記憶がありません。教えてもらったその日にできました。これは教わり方が良かったのと、弦が柔らかいエレキギターだったため音が出やすかったなど、様々な条件が重なった故だと思います。

これまで多くの生徒さんを見てきた中で、Fコードで苦戦する方にはいくつか共通点があることに気付きました。今回は、なぜFコードが難しいのか、そしてどうすれば乗り越えられるのかについて皆さんにシェアします。

目次

    なぜFコードは難しいのか

    Fコードが難しいと言われる最大の理由は、人差し指1本で複数の弦を押さえる「セーハ」が必要になることです。余談ですが制覇ではありません。スペイン語の”Ceja”が由来です。

    上の画像のように、コードって一般的には指を立てるなどして押さえるものが多いのですが (特にアコギの場合)、Fコードになると即座に指を寝かせて押弦することが必要です。そのため「今までのコードは押さえられたのに、急にできなくなった」という感覚になりやすいのです。ただし、ここでひとつ覚えておいてほしいことがあります。

     

    Fコードは握力勝負ではありません。

     

    力が弱いから押さえられないわけではないのです。

    Fコードで苦戦する人の共通点と解決のヒント

    レッスンをしていると、Fコードで苦戦する人にはいくつかの共通点があります。それは「力で解決しようとしている」というパターンです。鳴らないからといって、さらに強く握る。すると手首や腕に余計な力が入り、ますます押弦が甘くなります。実際には、力よりもフォームの問題であることがほとんどです。以下にフォームについての注意事項を書いてみます。

    ①親指の位置

    例えば親指がネックの上から飛び出していると、人差し指でセーハする力がうまく伝わりません。親指の位置を少し見直すだけで、急に音が鳴り始めることもあります。

    また、親指をしっかりと裏側に隠せたとしても下記の図のように青い丸のあたりに親指がある場合は均一に力が入りづらくなります。赤い丸のあたりに親指を持っていくと音が出やすいです。

    ②すべての弦を完璧に鳴らそうとしている
    真面目な人ほどこの傾向があります。もちろん最終的にはすべての音を綺麗に鳴らしたいのですが、最初から100点を目指す必要はありません。まずは6割、7割でも音が出れば十分です。

    ③肘を下げる

    ネックよりも肘の位置が高いと、セーハどころか普通のオープン・コードも鳴りづらくなります

    ④肘を引くようなイメージを持つ
    1弦から6弦までバランスよく押弦するには握力ではなく、印鑑を押すときのように垂直かつ均等に圧をかける必要があります。それには手首より先端の小さな部位だけでなく、肩や肘など、より大きなユニットごと駆使してやることが重要です。

    ⑤ギターのコンディション
    フォームは合っているのに音が出ない場合もあります。そーゆう時はギターのセッティング自体が不十分であることも考えられます。ギターは湿度や気温で状態が変化しやすいです (特に新品の楽器は)。ネックが前方に反ってしまうと (順反り)、弦高が浮いてしまい押さえにくくなります。

    ですので、「自分はFすらできないのか」「自分は手が小さいから無理なんだ」などと決めつける必要はありません。自責思考はとても素晴らしいと思いますが。

    手が小さいとFコードは押さえられない?

    「手が大きさは関係ありますか?」とよく聞かれるのですが、結論から言うと、手の大きさが原因になることはほとんどないと思われます。実際に小学生でも押さえられるようになりますし、女性の生徒さんでも問題なく弾けるようになります。もちろん個人差はありますけどね。

    手の小ささを力でカバーしようとする方もよく見受けられます。しかしそれは逆効果。セーハ時に力が入りすぎる場合は、握力で解決しようとしている証左です。そして握力の強さは、”指先にどれだけ力が入るか”が強く関係します。つまり、力任せにセーハするとまず指先に力が入ってしまい、指の付け根の方が浮いてしまい、結果として均一に力が入らなくなります。こーゆう人はたいてい、6弦側 (太い弦)は音が出ているけれども、1弦側 (細い弦)は音が出ていないという症状になっているはずです。

    簡略版Fを使うことの是非

    レッスン中「先生、YouTubeでFの簡単な押さえ方が紹介されていました。これを使うのはダメですか?」とよく聞かれます。

    僕のレッスンでは、ケガの後遺症などが原因で指が変形している方や、力が入りづらい方など何かのっぴきならない場合を除いて簡略版のFコードを使用することはほぼありません。それはこのコードが邪道だからという理由ではなく、今後課題曲の難易度が上がっていくことを考えると、FBmなどのセーハはクリアした方がいいからです。

    中長期的にレッスンを受けていただく上で、すぐできる押さえ方に頼ることは単なる対症療法に過ぎません。また一度それに頼るとそのクセを抜くのがしんどくなります。

    今まさにFコードで悩んでいる方に読んでほしい

    当スクールではチート・コードはあまり推奨しませんが、その代わり最初から完璧なFコードを求めることもありません。こんなものは一朝一夕でできる方が珍しいのです。それと、Fという1つのコードばかりムキになって練習するのは質がいい訓練とは言えません。もう少し音楽を巨視的に見るクセをつけるといいです。

    音楽は時間的な拘束がありコードやメロディの連続性が重要ですから、前後の流れの中でFっぽく聞こえていればもう第一段階はクリアだと思ってOKあとは時間が解決します

    我々が住む日本社会においてはとかく「間違わずにやり遂げる=高い技術」だと思われがちですが、「感動的な演奏=ミスのない演奏」とは限りません。なのであまり、”できてないこと”にフォーカスし過ぎない問題ばかりを見過ぎないという、ある種の大らかさも大事なんです。これに関しては別の記事で説教してますので読んでやってください。

    だからもし今押さえられなくても、あまり心配しなくて大丈夫。多くの場合は才能や手の大きさではなく、フォームや力の使い方、楽器そのもののコンディションに原因があると考えられます。ゆっくりと少しずつ練習を続けてみてください。それでもなかなか改善しない場合は、一度誰かにフォームを見てもらうのも良い方法です。自分では気付いていない小さなクセが、上達を妨げていることも少なくありません。

    Fコードは初心者にとって最初の大きな壁かもしれません。でもギターを続けていくと、後になって「あんなことで悩んでたな〜」などとエモい気持ちになる時が必ず来ます。実際、今では難なくFコードを押さえている人たちも、昔は同じように悩んでいました。どうか焦らず、自分のペースで取り組んでみてください。

    Midville’s
    中村