
フィンガースタイリスト必見!右手の爪の手入れは入念に!
講師の中村です。
僕のようなフィンガースタイルの演奏家にとって爪は道具です。演奏前は爪をキレイに研いでおかないと、思うようなプレイができません。弾き方1つで甘い音、鋭い音の使い分けができるし、抑揚をつけたり速度をあげたり、その楽器の良さを引き出す演奏をするには、そもそも爪がきちんと整っていないとできません。
これまで爪のことなんて気にしたことがない方は、今回の記事を読んで試して、弾きやすさや音色の違いを実感してもらえたらと思います。
※指で演奏する上では爪がなくても問題ありません。今回は爪で弾く人/弾かない人に向けた記事です。(仕事柄伸ばせない人も多いですし…。)
爪をキレイに削っておくと何が変わる?
端的にいうと弾きやすさと音色が変わります。指の頭で弾くよりも輪郭がハッキリとし、主張がやや強くなる傾向があります。
爪がささくれていたりすると弦に引っかかって上手く鳴らせませんし、爪が長すぎると強弱をつけにくくなったり、カチカチとノイズばかり目立ってしまうため、長くなったら形を整えるようにしましょう。
爪が弦に当たる部分を目の細かいやすりでキレイに整えておくと、滑るように撥弦できるようになり、鋭い音 (不快な音の成分)が出ないので全体的に音が強くまろやかになります。ただ実際にどのような形をどのくらいの長さでどのくらいの削ればいいのかを教えてくれる人はいません。今回の記事では基準となる形成の仕方について触れていきます。
使うもの
使うものは大きく2つ。爪やすりと紙やすりです。
爪やすりは仕上げ用ではなく形成のために使うので、荒いものを準備してください。丸い筒状のものや幅の細いものだとちょっと作業しにくいので、できれば平べったいタイプを選ぶといいです。またガラス製のものが理想的ですが、壊れやすいので金属製でもOKです。

仕上げ用に使うのは紙やすり。プラモデルで使われるTAMIYAのフィニッシングペーパーが使いやすく、目の荒さはP1000~P2000の間が望ましいです。P1000あたりで仕上げると音色は硬めになり、P2000に近づくほど音色が柔らかくなります。ちなみに僕はP2000を使用しています。紙やすりは画材屋さん、ホームセンターなどで色んなメーカーのものが手に入りますが、TAMIYAのやすりは仕上がりが異様に良いため、わざわざおもちゃ売り場やプラモデルのショップに行って購入しています。値段も安いのでギタリストの定番商品となっています。

やすりがない時はレシートのツヤのある面で代用することもあります。
形を作る
放っておくとこのイラストの左側の爪のように”四角く”なっていくと思いますが、爪の両端の角ばった部分を削ってしまいましょう。

右側のように”アーモンド型”になればOKです。僕は自分の爪を形成する時はいつもこの形になるようにしています。
四角いままだと接触するポイントが広くなってしまって (爪は湾曲しているので)弦に引っかかりやすくなります。接地面は少なく、ただしリリースポイントまでのストローク (下の画像の赤いライン)は長い方が、自分のタイミングで撥弦できるので、演奏性が上がります。

ちなみに青いドットはリリースポイントを指しています。画像ではリリースポイントが真ん中になっていますね。このリリースポイントのベストな位置は人によって異なりますが、まずはセンターでやってみてください。クラシックギタリストは構え方や鳴らし方の勝手が異なるため左右どちらかに偏らせることが多いです。爪が伸びて両端に角が出てきたら削り時です。
紙やすりで仕上げ

この画像の青い面 (特に先端部分)を1000番以上の紙やすりで磨いていきます。先ほどの画像の赤いライン (弦を芯でとらえる部分)がザラザラのままだとリリースポイントでうまく音が鳴らせない (タイミングがズレる)ので、爪の先端を光に当てると光沢が少し出るくらいまで磨きましょう。
どれくらいの長さがベストか?
ソロギタリスト (クラシックギタリストとは違う、アコギで独奏する人)の手を見ていると、爪を長く伸ばして、それをグラスネイルやジェルネイル、スカルプなどでコーティングしている人が多いです。フラメンコギタリストはよりピッキングが強いので瞬間接着剤を爪に塗って、ピック並みの硬さを再現して演奏することもあるそうです。ただ、これらの補強剤 (及び接着剤)は地爪をかなり傷めるので個人的にはオススメしないです。長ければ良いッてモンでもないんですね。

僕の爪は2mm程度にしています (薬指は少し短いので3mm程度)。爪が長いと強弱が出しにくくなったり、弦に爪が当たってカチカチうるさいので…。それに一度割れたら伸ばすのが大変ですし、グラスネイルやジェルネイルの常用は好きでないので。短い方がパワーを出せるし日常生活でも長くない方が衛生的ですよね。
さて、地爪がそもそも弱い、二枚爪やささくれになりやすい人は次の項も読んでみてください。
爪が割れやすい人必見
食生活で爪のコンディションが変わるので、僕は必須アミノ酸やミネラルを含有するタンパク質の豊富な食べ物を毎日摂取するようにしていますが、結果が出るには時間もかかるので手っ取り早く爪を強くしたいという方はkaina (カイナ)というネイルケアメーカーが出しているThe Guitaristというベースコートがいいです。

これは速乾性があり、また光沢もあんまり出ないので男性でも気にせず使えるのがオススメ。グラスネイルやジェルネイルに比べると強さはありませんが、爪へのダメージが少なくコスパも良い上、地爪を傷めないのが最高です。kainaは他にもネイルケアの商品を出していて、僕は使ったことありませんが保湿クリームはなかなか評判がいいそうです。
爪の整え方は色々ありますので、人にあった形を見つけたい方はレッスンで直接聞いてもらえれば幸いです。
Midville’s
中村
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中村
音楽講師 / ビートメイカー
『井上 陽水英訳詞集』 著: Robert Campbell <講談社>
内容は日本語を母語にしている僕たちでさえも「不思議!」と思わざるを
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