
オススメのクラシックギター弦3選!
講師の中村です。
「クラシックギター用の弦でオススメありますか?」とよく聞かれますので、今回はそれについて書いていこうと思います。オススメ弦を3つピックアップしました。
初めてクラシックギター用の弦を買う方から「6本中3本が金属弦のものを買ってしまいました、どうしましょう」とおっしゃるのですが、ご自分のギターをよく見てください。低音側3本は、もともと巻弦ですよ。確かに表面上は金属っぽく見えますが、中の芯線はナイロンの繊維の束です。ご安心を。
ちなみに弦選びのポイントについてはこちらの記事を参照してください。
オススメ① SAVAREZ CREATION Cantiga -Normal Tension-

SAVAREZ (サバレス)はクラシックギター用の弦を主に作っているフランスのメーカーです。どのモデルも全体的に音がハッキリとしていてかなり華やかなキャラクターです。弾き応えもしっかりあって反応も早く、クラシックからポップスまで順応する万能さがあります。
1-2弦は普通のナイロン製の弦、ウルフトーン (※)の多い3弦はフロロカーボン製の弦 (別名: アリアンス)を使っていて、低音の4-6弦は太くて軽い、そしてパワーのある巻弦 (別名: カンティーガ)を採用。全体の音色&バランス共に素晴らしいです。
この弦はノーマル・テンションなのでそんなにハリも強くなく、弾きやすいです。
※押さえるフレットによって音量にバラつきがあること。
素材: 1-2弦 ナイロン / 3弦 アリアンス (フロロカーボン) / 4-6弦 カンティーガ (巻弦)
張力: ノーマルテンション
オススメ② AUGUSTINE BLACK

どこの楽器屋さんでもだいたい手に入る、安くて音の良い弦にしたい、という方はもうAUGUSTINE (オーガスチン)一択です。
AUGUSTINEはナイロンをクラシックギター用の弦として最初に使ったメーカーです。ギターの弦はもともとガット (羊の腸を引き伸ばしてヒモ状にしたもの)でした。テニスのラケットの網をガットと呼ぶのも、元は素材がガットだったことに由来しています。日本語で「ガッツがある」という言い回しをするのも、ガットが由来です。
AUGUSTINEのこのシリーズは定番となっていて、黒、赤、青の順に弦の張りが強くなっていきます。黒はロー・テンションなのでかなり柔らかく押さえやすいモデルです。音色がキレイなのが特徴です。ただし欠点もあって、弦を替えた後のチューニングの安定が悪かったり、ライブや発表会に出る人はステージの照明程度でも音が狂ってしまいます。最初の1-2週間は、注意深くチューニングを見ておく必要があります。それと低音弦がよく切れるイメージもありますね。
Midville’sのレッスンでレンタル用に使っているクラシックギターにはAUGUSTIN BLACKを張っています。
素材: 1-3弦 ナイロン / 4-6弦 巻弦
張力: ロー・テンション
オススメ③HANNABACH Exclusive MT

クラシックギターの弦は、アコギやエレキと比べると交換頻度が少ないです。ナイロンは酸化しないので劣化もしません (ささくれたりはしますが)。なので、交換する際には「せっかくだから」とちょっと高級な弦を選ぶ方も結構多いです。
3つ目にオススメするのはドイツのメーカー、HANNABACH (ハナバッハ)で。ここのはどのシリーズも基本的にお値段は高めで、中でもこのExclusiveシリーズは1ランク上です。ただしこのモデルを在庫しているお店はそう多くないかもしれませんが、個人的には市販品の中ではダントツよかったです。上品な音色で音量もしっかりあって、心地よい独特の響きを持っています。
どうやら一般的なナイロン弦の断面はキレイな円になっていないらしく、そのせいで撥弦した時の弦振動の軌道が歪んでしまうそうですが、HANNABACH Exclusiveシリーズは断面が真円に近いので、弦振動の軌道も規則的になり、それがギターのボディ全体に伝達して、サスティーン (余韻)の長さや安定した音色につながっているのだと思われます。またウルフトーンが多い3弦にはチタニールという素材の弦を使っており、よりパワーがあります。
さらに低音弦の巻線には、銅ではなく銀を使用 (純銀ではないそうですが)。耐久性だけでなく、弦自体の質量が高くなり、響きも強くなっています。通常、ほとんどの低音弦は銀メッキを施した銅線を使っているので、パワー面で劣るだけでなく、切れやすかったり、劣化しやすかったりするのです。
素材: 1-2弦 ナイロン / 3弦 チタニール / 4-6弦 巻弦 (銀使用)
張力: ミディアム・ゲージ
僕が使っている弦

僕が使っている弦はいくつかあるんですが、オススメ①に挙げたSAVAREZか、D’addario (ダダリオ)のPro-Arté (プロアルテ) EJ49というモデルを選ぶことが一番多いです。D’addarioと言えば、AUGUSTINEに次ぐ定番弦で、クラシックギターだけでなくアコギ/エレキ問わず、弦メーカーとして世界最大のブランドです。
Pro-Arté EJ49はブラックナイロンという黒い素材を使っています。普通の半透明なナイロンと比べるとかなり硬めの音です。実際の触った質感も硬いです。モダンな響き方をするので、クラシック曲よりもジャズやポップスなどのライトな音楽によりマッチします。
僕がレッスンで使っているCordoba (コルドバ)のギターには現在これが装備されています。
素材: 1-3弦 ブラックナイロン / 4-6弦 巻弦
張力: ノーマル・テンション
弦の替え時はいつ?
僕の思う替え時は、「低音弦 (4-6弦)が黒ずんできたら」です。だいたい3-4ヶ月に1回くらいかな。クラシックギターは、エレキギターやアコースティックギターに比べると交換頻度が少なく、厳密にいうと高音弦 (1-3弦)と低音弦 (4-6弦)で劣化のスピードが違うんです。低音弦の方が劣化が早いので、低音弦だけ交換する人もいるくらいです。

弦の黒ずみはこんな感じ。長く使っているとフレットに当たる部分の銀メッキが剥げてきます。中身はブロンズ巻弦なので、元の色が剥き出しになります。汚れているワケではないんですが、汚れているように見えてなんかイヤですよね。僕はこうなったら全部替えます。低音弦だけ替えるとか、バラで買うのがちょっと邪魔くさいので、いっそ全部交換してます。
めんどくさい低音弦…
低音弦は劣化が早いだけでなく、黒ずむ前に弦が切れることもあります。低音弦は新しいとか古いとか関係なしに実は結構切れやすいです。しかも弾いてない時に、ひとりでにパチンと…誰も触っていない時に人知れず逝ってることがあります。
だいたい糸巻きの付近か、サドルの付近で切れます。

クラシックギター弦の世界ッて歴史が長いだけに結構深いんですよね。他にも気になることあったら、直接聞いてください。
Midville’s
中村
共有:
中村
音楽講師 / ビートメイカー
『井上 陽水英訳詞集』 著: Robert Campbell <講談社>
ただ翻訳をしただけでなく、なぜそう訳したのかをあまり難しい言葉を使
Comment (1)
Comments are closed.
Pingback: とりあえずコレ買っとけ!クラシックギター弦のすゝめ – Midville's