講師の中村です。
今回はケーブル (シールド)についてのよもやま話。
このアイテムをきちんと選んで使う人は生徒さんには少ないですが、同業者同士だと「何使ってる?」などとトークの軽いネタになったりします。今回は個人的なオススメのケーブルをいくつか紹介します。
目次
EX-PRO (イーエックス・プロ) / Sound Wood (サウンド・ウッド)
アコギ向け
音質重視
プロユース
EX-PROは周辺機材を手掛けている会社です。ケーブルだけでもいくつか種類がありますが、このSound Woodはアコギ、ガットギター、ホローボディ系のエレキギターとの相性がめちゃくちゃ良い。低音〜中音がクリアで、音量もしっかりあります。アコースティック楽器特有の音の暖かさの再現度が結構エゲツないので、インスト系の人にはオススメしたいケーブルです。僕は試してませんが傾向的にはアコベ (アコースティック・ベース: 下の写真)も合うと思います。
このケーブルは「プラグキャップで音質が決まる!」という前提に立っていて、”カリンの木”で手作りしたプラグキャップを使用しています。比較的高級なアイテムだし、プラグキャップが外れやすい (しかも乾燥すると割れたりもする)などのデメリットはありますが、音だけで言えば市販されている量産品の類ではダントツで良いです。
実際にプラグキャップでそんなに音が変わるかどうかは僕は分かりませんが、Sound Woodは僕が初めて「ケーブルでこんなに音が変わるの?」と感動したアイテムであったことは間違いありません。以前はライブ用のケーブルとして使っていましたが、断線してしまってから再購入できていません。なかなか売ってないんです…。
CANARE (カナレ) / Gシリーズ
高耐久性
定番モデル
コスパ◎
このケーブルはスタンダード中のスタンダードなので、いちいち紹介するまでもないと思いながらも、やっぱりCANAREは素晴らしい。
よくわからないメーカーが作っている数百円の安物を除き、ちゃんとしたメーカー品の中ではCANAREが最も安いと思います。どれを買えばいいか分からない初心者の方でも手にしやすいと思います。だいたいどこの楽器店でも売ってますし。このGシリーズはエレキもアコギも関係なく使えます。
なんといってもCANAREが優れている点は耐久性の高さ。これは明らかに値段とつりあってません。8万回の屈曲テストをしても、中の素材が傷むことはなかったそうです。普通なら断線してしまうでしょうね。しかもプラグも安っぽくなくて、作りも良い。
僕はライブの数を増やしていた時期やバスキング (ストリート・ライブ)をする時はだいたいCANAREを使用します。
音質的には、輪郭がややぼやけた感じがあり、めちゃくちゃ良いワケではありませんが、電気楽器の大敵であるノイズは少なめ。この音を基準にして耳に覚えさせれば、他のケーブルを使った時に比較ができると思います。
LIVE LINE (ライブ・ライン) / Pure Craft (ピュア・クラフト)
デザイン◎
コスパ◯
初心者向け
「音にはある程度こだわりたい…でもお金はかけたくない」という方には迷わずLIVE LINE (ライヴ・ライン)のPure Craftを薦めています。LIVE LINEは大阪にある株式会社TMCが手掛けるブランドで、ストラップやケーブルなどステージに立つ人にとって重要な周辺機器をプロダクトしています。より遊び心に満ちたデザインが特徴で、品質もそれなりに高いのにプライスレンジが広くプロ/アマ関係なく手を出しやすいようになっています。
Pure Craftの好きなところは、まず見た目!深緑のシース (外皮)に、アンティーク感のある燻んだような加工がされているプラグキャップ。ケーブルの見た目ッて結構大事なんですよね。間違いなくステージ映えします。
そして肝心の音については中音域の不要な成分がスッキリと削ぎ落とされ、低音から高音までバランスの良い出音になっています。アコギやエレキギターとの相性はかなり良いと思います。クラシック・ギター (エレガット)はそこまで合わない気がしますが。
ただCANAREと違ってそんなに強くはないので (CANAREが強すぎるだけですが)、ライブが多いと断線やシースの損傷が結構激しいです。僕はこの10年でPure Craftを3本以上ダメにしてしまいました。まぁかなり使い込みましたので参考にならないかもしれませんが。
KAMINARI (神鳴) / 各種
高耐久性
音質重視
プロユース
KAMINARIはプロの間でスタンダード化して一躍有名になった日本のメーカーです。アコースティック・ギター用、ウクレレ用、エレキギター用、ベース用にチューニングされた各種ケーブルも市民権を得ており、どちらかというとプロユースなイメージですが、音よし、耐久性よしでライブ現場でもレコーディングでも文句なしに使えるシロモノです。
注意点は、1本で何でもいけるという万能タイプではありません。アコギに繋ぐならアコギ用が良いし、エレキに繋ぐならエレキ用が良いし…値段も安くはないのでたくさん買うことを考えるとコスパはあまりよくありませんが、モノは良いです。
例えば、アコギ用のモデルはサウンドにやや厚みがあり、特に弾き語りやバンド・サウンドとの相性が良いと思われます。アコギであればどんなギターにも適応してくれる懐の深さはあるものの、Gibson (ギブソン)やTakamine (タカミネ)のようなパワー系の楽器とあわせて使うのが一番良さが出ると思います。ソロギターにはあんまり向かないかも。
ちょっと高くても本格的なものがほしい!という方にはオススメです。
NEO (ネオ) / Force ’77G
レコーディング向け
音質重視
プロユース
個人的には一番好きなケーブルです。僕の機材周りはほとんどがこのForce ‘77です (但しプラグだけはリプレイスした自作ケーブル)。NEOは秋葉原で半世紀近く商売をしてきた小柳出電気商会 (OYAIDEとして知られてる)が持っているケーブルに特化したブランド。
まずアコギでもエレキでも問題なく使えます。アコギやセミアコ、フルアコの場合、暖かみのある音が好きであればEX-PROやKAMINARIに軍配が上がりますが、とにかくピックアップからの電気信号をただただ素直に出力してくれるので、スッキリとしたハイエンドなオーディオ機器のような音質を追い求めている方ならきっと気にいるはずです。
そしてノイズに強いです。シース (外皮)の表面がギザギザしていてケーブルが何かと触れる時に (例えば床や他のケーブル)、接地面が少なくなることで外来ノイズが入りにくい設計になっているんです。
難点は、特定の方向に曲げづらいという取り回しの悪さ。表皮の加工のせいでケーブルがあまり柔軟に曲がらない点には注意が必要です。
でも音質はライブでもレコーディングでも使える万能タイプだと思います。それでいてウンと高級でもないので、良い楽器をお持ちの方にはオススメです。宅レコ勢からも高く評価されているようです。
BELDEN (ベルデン) / 8412 The Wired (ザ・ワイヤード) & 9778 The 60’s (ザ・シックスティーズ)
定番モデル
どこでも売ってる
初心者向け
上に紹介した5つとも日本の製品ですがBELDENはアメリカの会社で、ケーブル業界ではCANAREと双璧をなすスタンダードなメーカーとして知られています。アコースティック楽器やベースには8412 The Wired、エレキギターには9778 The 60’s を使うと良いでしょう。
8412 The Wiredは音の太さ、9778 The 60’sは音のタイトさやパンチ力が評価されていますが、どちらも音の輪郭がハッキリとしています。8412 The Wiredはとにかく音に厚みがあるので弾いてるとちょっと上手くなったような気持ちになるんですよね。ややモダンな音というか、ちょっと都会的な音色に感じます。それに対して9778 The 60’sはオーセンチックな (文字通り昔風な)音に感じます。音が深いというよりも、あえてチープなところが良い…みたいな。
価格はどちらも高すぎず、安すぎずです (9778 The 60’sの方が少しだけ安い)。余談ですが僕が初めて使ったケーブルは9778 The 60’s でした。
BELDENのギターケーブルのデメリットを1つ挙げるならば、販売されているパッケージの中でケーブルが捻れたりして変なクセが付いている点です。
ただの音を出す線かと思えば、変えた瞬間に音が生き返ったり、ノイズが消えたり、違いが結構あるんです。僕も以前はこんなものにお金をかける必要はないと思っていましたが、やっぱり良いものを知っていくと物事は奥深いんだなと感じます。ケーブルに関するもう少しオタクな記事もありますので興味ある方は読んでください。
シールド・ケーブルよもやま話 2/2
Midville’s
中村
