日本語ラップ史、オーバーキル3選 | ラッパー同士の”ビーフ”の中でも言い過ぎた名曲を紹介

講師の中村です。
今回はギターではなくヒップホップの話題です。あまり公言していませんが、僕は音楽の全ジャンルの中で一番長く聴き続けているのがヒップホップです。

今回は「日本語ラップ史、オーバーキル集」と題しまして、日本人ラッパー同士のビーフ (喧嘩)で、あまりにも相手に対して容赦なさすぎる圧倒的だった曲を3つ紹介します。

目次

    そもそも”ビーフ”はなぜ”喧嘩”を意味する言葉になったのか?

    ヒップホップ界隈でよく使われる「ビーフ (Beef)」という言葉。これがアメリカ英語のスラングで“喧嘩”や“不満”を意味するようになったのには諸説あります。

    19世紀後半のアメリカで、兵士たちが「肉 (ビーフ)が足りない」と不平不満を言い出したことから転じて「文句を言う」という意味で使われ始めたとも言われていますが、現在ラップシーンで使われている直接的なルーツは、アメリカのハンバーガー・チェーンWendy’s (ウェンディーズ)が1980年代に制作したテレビCMだと思われます。

    Wendy’sは”他社のハンバーガーは巨大なバンズばかりで肉がほとんど入っていない”ということを指摘するために「Where’s the beef? (お肉はどこ?)」と喧嘩を売っているかのようなキャッチ・フレーズを使いました。これが大流行し、ストリートでも「喧嘩」や「不満の対象」を意味する言葉に発展していったのだと考えられています。

    中身のない主張に対して「肉はどこだ?」と詰め寄るカルチャーは、まさに今から紹介するオーバーキルな楽曲たちにぴったりです。

    ①制作期間わずか3日で格の違いを見せつけた公開処刑

    当事者: SEEDA vs GUINNESS (2009年)
    楽曲名: ”的を外し続ける退屈な主張” (SEEDA)

    【ビーフの背景】

    1. SEEDA vs TERIYAKI BOYZ (早とちりから和解へ)
    2. THE SOURCE MAGAZINEからSEEDAへ表紙オファー
    3. SEEDAが「美学」を持ってオファーを辞退
    4. 無関係のGUINNESSが売名目的 (?)で割り込み参戦

    このビーフは元々、SEEDAというラッパーがTeriyaki Boyzというラップ・グループに因縁をつけたことが始まり。因縁をつけられたのはTeriyaki Boyzが”Serious Japanese (シリアス・ジャパニーズ)”という楽曲の中で

    おっと、服にサルがついてる

    というフレーズを使ったことが理由でした。これはSEEDAの楽曲”Sai Bai Man (feat. OKI)”の

    おっと、服に枝がついてる

    をサンプリングしたものと思われますが、なぜかSEEDAはこれをよく思わず、Teriyaki Boyzをボロカスに言う曲をOKIと一緒にYouTubeに投稿します (タイトルは”TERIYTAKI BEEF”)。

    結果から言うとこの言いがかりはSEEDA側の早とちりでした。後にTeriyaki BoyzのラッパーVerbal (バーバル)は自身のポッドキャストにSEEDAをゲストに呼び、釈明と話し合いの場を設け、Verbalは「Teriyaki Boyzとしてはリスペクトのつもりでオマージュした」と説明しました。SEEDAはオンエアの中で「お互いの主張があるならラップでやろう」と言い即興ラップをVerbalに仕掛けますが、即興ができないVerbalはヘラヘラと笑うだけで会話にならず。

    この一連の出来事を、THE SOURCE MAGAZINE (ザ・ソース・マガジン)というヒップホップの専門誌が「テリヤキバーガーを食べてるSEEDAを表紙にしたい」とSEEDAにオファーをかけますが「ソースマガジンの上でテリヤキビーフは食えないっす (権威ある専門誌であるソースマガジンであんなビーフを扱ってもらうワケにはいかない)」と断ります。

    これはとても敬意のある辞退だと思いますが、オファーを断ってから半月〜1ヶ月ほど経った頃に全く関係のないGUINNESS (ギネス)というラッパーが割り込んできて「おい、なんで表紙の件断った?」とSEEDAを煽った曲”Seeda is Fake (シーダ・イズ・フェイク)”をYouTubeに投稿。現在は削除されている模様です。

    できないくせになぜお前はやった?予想通りメッキでしたやっぱ

    言っちゃう覚悟 言われる覚悟 芋引いたヒップホップはテメーで最後

    前置きが長くなりましたが、このGUINNESSのディス曲に対してSEEDAはTeriyaki Boyzに贈った以上の強い口調でGUINNESSを非難した曲”的を外し続ける退屈な主張”をわずか3日で制作しYouTubeに投下 (こちらも削除されている模様で、よく分からないアカウントから上がった動画しか残っていません)。この曲の恐ろしさは、突然売られた喧嘩に対してクオリティの妥協一切なしの超絶フレーズと、容赦なさすぎる「身も蓋もない正論」でGUINNESSのラッパーとしての存在意義ごと全否定した点です。

    歌は聴いたよ
    あれプリプロ?
    トラックが泣いてる
    あれズブのシロ?

    直接あんたにオレ何言った?噂を信じるボンボクラ

    ラップに進歩がないギネスレコード

    お前がこだわるHIPHOPマジでダサイ

    ちょうどお前のアルバムが出る直前の今頃、無理矢理な理由でビーフ?大人の事情はお前の方だろ!

    ソロアルバム1枚も出してないけど?逮捕されたら自称ミュージシャン

    しかもタチが悪かったのは関係ないGUINNESSは、自分のアルバムが出る直前の話題作りとしてSEEDAに噛み付いたのではないかという点です。ハッキリとは言われてませんが、こーゆう売名の仕方はヒップホップではたまにあります。

    ちなみに曲でのやりとりはもう1ラリーありましたが、特に火力が強かったのはこの1曲目の方でした。リスナーの中には「GUINNESSは絡む相手を間違えただけで、別に下手ではない」と擁護する声も一部ありましたが、このビーフ自体はSEEDAの圧勝で終わりました。そしてSEEDAの予言通りGUINNESSは翌年薬物所持で逮捕され、報道では”自称ミュージシャン”ではなく”歌手”として紹介されていました。

    ところで、未解決のままだったSEEDA vs Verbal (Teriyaki Boyz)の方ですが、2025年に和解して一緒に曲を出しています。

    ② ビーフというよりも、日本語ラップ史上最も凶暴な「奇襲」

    当事者: TOKONA-X vs THA BLUE HERB (2002年)
    楽曲名: “EQUIS.EX.X (エクス・エクス・エクス)” (D.O.I. feat. TOKONA-X)

    【ビーフの背景】

    1. ヒップホップの地方分権化が進む
    2. TOKONA-Xが「東京一極集中」の音楽シーンを敵視し、名古屋から一躍有名に
    3. 似た志を持つ札幌のTHA BLUE HERBが今のラップ・シーンに喝を入れた曲をリリース
    4. それを自分がディスられていると勘ぐったTOKONA-Xが曲で奇襲攻撃を仕掛ける

    2000年頃の日本の音楽シーンは、ヒップホップに限らずインディーズ・ミュージシャンが特大ホームランを連発するという時代でした。ヒップホップ界隈ではインディーズの台頭に加えて地方分権化が進み、「音楽は東京だけのものじゃない」という認識が明確に広がっていたのを今でも覚えています。大阪の韻踏合組合 (いんふみあいくみあい)、仙台のGAGLE (ガグル)、京都のANARCHY (アナーキー)、熊本の餓鬼レンジャー…、地方からシーンを盛り上げたいというエネルギーが強くなり始めた時期。

    そんな中、日本のヒップホップシーンを激震させたのが、名古屋を拠点にしていたトウカイテイオーことTOKONA-X (トコナ・エックス)と札幌を拠点にしていたTHA BLUE HERB (ザ・ブルー・ハーブ)です。

    TOKONA-Xは17歳という若さで東京の大規模なヒップホップのイベント”さんぴんCAMP” (1996年)への出演を果たします。このイベントに出演したアーティストたちのパフォーマンスによってヒップホップはよりハードコアでアンダーグラウンドな路線が好まれるようになり、それまでの「商業主義的かつギャグ路線」のラップ音楽を完全に叩きのめした結果となりました。このイベントおよび出演アーティストは現在でも”レジェンド”と括られ、若手たちからもリスペクトを送られることが多いです。それほど影響力のあるイベントでした。

    ところがその後イベント側と色々あったTOKONA-Xは、たびたび「東京一極集中」的な音楽に疑問を持つようになり、名古屋を拠点にしながらも全国に有名になっていきました。名古屋には”アングラ志向”の大きなヒップホップ・イベントが定期的に開催されており、各地から名を挙げたラッパーやグループによるライブが披露されていました。同じ頃、TOKONA-Xと同じように「東京一極集中への違和感」と「地方から音楽シーンを作る姿勢」を掲げたグループが、札幌のTHA BLUE HERBです。

    さんぴんCAMPで「アングラ志向」が定着しかけたヒップホップ・シーンでしたが、THA BLUE HERBは「今度は見せかけだけのアングラ風が流行り出しているのではないか?」という警鐘を鳴らし「あの日、魂 (コア)を売って商業主義に走った奴らに北の地から宣戦布告してやる」とでも言うかのような強いメッセージ性を持った曲”A SWEET LITTLE DIS (ア・スウィート・リトル・ディス)”を2002年に発表します。

    ところがこの曲は思わぬ方向に展開します。歌詞の中にあった

    XXX DISとONE LOVEで 本音100で堂々と戦うぜ
    俺のヒップホップはあの日お前が捨てた マスではなくコアでタイトでラフで

    という部分を、「俺に喧嘩売ってるのか?」と思ったTOKONA-Xが、THA BLUE HERBに対して奇襲をかけます。それがこの曲。

    マトン臭ぇぜ お前どっからきた「一発かましに」ドタマ来た
    カマされるのはお前の方 カマがカマされた言ったとこ笑えんぞー

    お前どつき回したるでな RAPで勝負 眠たーこと言ってんな
    まるで鬱病患者のRAPだな あながち間違っとらんかった? 悪いなー

    流石青臭くてトベねーのは駄草の名産地ならではのお方
    目指せ直木賞だなまるで掘られて味しめたどこぞのオカマ

    俺が好きでたまらんのだろ
    その趣味は無えんだ
    オッサンみたーによーワンラブぬかすホモセクシャルに

    ケツの穴嗅いどるよなクソな中年
    誰もまっとらせん しょーもねーリアクション
    おとといこいてば楽勝
    俺の女が言っとった RAPがちょーキモイ「オイ言ったんなー」

    これでも売れとんだと知っとった?
    オタクじみた奴がすきなんだぜこーゆーの
    あおりにあおるメディアご自由に その分キッチリ刈るぜシブチン どうせキワ物
    甘んじとる奴どつくなんぞBitch抱くよかEasy

    この曲は2002年、トップ・クリエイターのD.O.I.によってプロディースされたアルバム”HARLEM ver.1.0”に収録されています。その中の1曲がこの”EQUIS.EX.X”でした。TOKONA-Xの腕には”XXX”のタトゥーが彫ってあり、TOKONA-Xはそれをディスられたと受け取り、この曲が生まれました。ゆえに曲のタイトルも”EQUIS.EX.X (エクス・エクス・エクス)”になっているそうです。

    マイクの前で放たれたTOKONA-Xの重戦車のような声量、頑強なグルーヴ、そして殺気は100%本物でした。THA BLUE HERBといえば知的で洗練された言葉選びが特徴ですが、そのインテリジェンスなスタイルを野生のパワーだけで完全にねじ伏せ、踏み潰すかのような破壊力を感じます。しかしTOKONA-Xを非難した意図はないTHA BLUE HERBからすれば、地方のインディーズから覇を唱える、志を同じくした仲間から突然奇襲を受けたような感覚だったでしょう。

    実は2人はこの音源がリリースされる直前に、電話にて会話しており和解していました。しかしリリースされることは決まってしまっていたためどうすることもできず、TOKONA-Xもライブでこの曲を演るしかなかったのだとか。

    この曲を契機にTOKONA-Xは一躍注目の的になり、翌年2003年にDef Jam Japan (デフ・ジャム・ジャパン)とメジャー契約を果たします。しかし残念なことに、メジャー・デビューした翌年2004年に薬物のオーバードーズにより26歳という若さで他界します。20代とは思えない貫禄たっぷりの歌い方や世界観は現在も多くのラッパーに影響を与え、語り継がれています。

    理由やいきさつはどうあれ、「マイクを持ったらとことんやる」というTOKONA-Xの狂暴性が凝縮された、やりすぎな名演でした。TOKONA-Xでした。

    ③ パクリを指摘した本人がパクリでディスられ逃亡

    当事者: 歌代ニーナ vs NENE (2025年)
    楽曲名: “mood: bored”

    【ビーフの背景】

    1. NENEがちゃんみなを「パクリだ」とディス、その事務所BMSGのことも言及
    2. ちゃんみなは無視、事務所代表SKY-HIがアンサー
    3. 歌代ニーナが参戦して「お前もパクリじゃん」とNENEを曲で攻撃、数々の証拠もSNSで公開
    4. NENE逃亡

    今日紹介する中では一番攻撃性が強いと思います。2025年6月、ゆるふわギャングのNENEが突如ドロップしたディス曲”OWARI”によって幕が開かれたビーフです。NENEは楽曲内で、ラッパーのちゃんみなに対する痛烈な悪口 (あっこう)を浴びせました。

    新曲聴いた
    What?
    ねぇクレジット入ってないじゃん
    え?ラッパー?
    自分でリリック書いてないのに

    I’m on your mood board bitch (私はあなたの理想の上)

    誰かが言わなきゃなって思ってた
    汚ねぇ音楽業界 shut the fuck up
    パクリ パクリ あいつもパクリ
    どいつも こいつも うちらのパクリ

    売れればいいのか?金稼げればいいのか?
    うちらはうちらのやり方で見せつけてる頭の中
    プライド持てよだせぇな 腐った音楽業界 くせぇな

    ネタ切れのハイエナ 電話しろよちゃんみな
    お金払ってくれるなら あげてもいいよアイデア

    ディスられたちゃんみなは自身の配信の中で

    電話番号知らないんだけど

    自分でリリック (歌詞)書いてるよ

    と言及し「アンサーを書くつもりはない」という姿勢を見せています。

    また、NENEの”OWARI”の歌詞には

    I’m so high, SKY-HI
    開く準備しとけパラシュート
    私がこの闇暴く

    アーティスト気取りの泥棒集団
    脂肪吸引とか楽しないで頭使えば?
    私は口が筋肉痛 用意してある次のトラック

    子供だました金で食べる寿司は美味いか?

    という部分もあり、これはちゃんみなが所属するレコード会社BSMGの代表SKY-HI (スカイ・ハイ)に対する攻撃でもありました。BMSGはBE:First (ビー・ファースト)やAyumu Imazu、Novel Core (ノベル・コア)などが所属する新進気鋭のレーベル。社長を務める日高 光啓は元AAA (トリプル・エー)のメンバーであり、SKY-HI名義でアーティストとしても活動しています。

    SKY-HIは2日で反応し、オーバーキルとも言えるカウンターとラップスキルで応戦しました。

    1、2曲のTikTokやfeat.のヒットでHottestって笑わせる それでいいの?

    来る日も来る日もラップしてレックしてもはやなる暇もない筋肉痛
    もう午前中から会議してダンスして今夜だけ付き合うこのフリースタイル

    寄んなハイエナ
    寄んでないから

    でも売れるためそのゲーム出たとこで ゆるふわな頭じゃ上がれなかった地上

    頑張ってテレビに媚び売るお前とお願いされてやっと出てる俺
    汚ねぇ売名アルバム出るなら買ってやるよこのプロモーション 頑張って!

    悪いことはいいけどダセェ事すんな
    お前もだよ堀田わかってんな?
    誰に引き金引いたか聞いてっか?
    NENEのラップは悪くなかったけど
    論破型思考のあんたらはどう?
    人の土俵で相撲とる阿呆を一網打尽

    これを聴いた時、「正直ちょっとシャバくない?」と思われていたであろうSKY-HIの印象が大きく変わった人は多いと思います。確証のない話で因縁をつけてきたNENEに対して、短時間でスキルを見せつけてきた&自分のスタンスについて示したからです (ただSKY-HIはパクリについては言及せず)。実際当時のYouTubeのコメント欄はSKY-HI擁護派が多かったです。

    ここからさらにNENEはSNSで「お前じゃないんだよなー笑」と煽った後で、”HAJIMARI”という曲をリリースしてSKY-HIにアンサーを返します。

    あの子もあの子も泣き寝入り
    沢山の被害者 あるな?心当たり

    私の周り本物のクリエイティブチーム

    選挙の前に降らせろそこに雨
    じゃないと見せれないんだよ子供に夢
    私に届いてる誹謗中傷
    お前らのファンはかなり重症
    わかりやすい急所ついたら激情
    顔真っ赤 全て明るみになった

    何にも答えてないじゃん的外れのアンサー
    やっぱお前じゃないわー笑

    更なるNENEからの猛攻を受けるも、元々抱えてたファンの数が違うのでSKY-HIの方がよかったという声は相変わらずでしたが、これ以降SKY-HIはアンサーを出していません。本題はここからです。

    NENEの“HAJIMARI“公開の数日後、ラッパーの歌代ニーナがこのビーフに入ってきて、”mood: bored (ムード・ボード)”という曲でNENEを攻撃します。オーバーキルというよりもほとんど死体蹴りに近いです。

    ねぇ出るとこ出てきてあげる
    ねぇねぇ証拠も出したげる
    ねぇ血の気を引かせてあげる
    ねぇねぇ、大丈夫そ?

    ねぇ、あんたの前で2回も歌った曲
    半年前にすでにMVまで撮った曲
    ねぇ、あんたのパシリがメイクとして潜入

    ねぇ私糞忙しい これに割く時間ほんとはない
    でもあんた英語がなってないの気になっちゃってて仕方がない

    あんたってほんと退屈
    私が真実を伝承してあげる
    最近新しい弁護士雇ったし
    もっと訴えようかな
    リリック全部生ぬる過ぎ

    歌代ニーナの主張としては「人のことパクリパクリッて言う前に、あんた私のことパクッてるでしょ」ということ。実はNENEの”OWARI”の歌詞で使われた「mood board」という単語や、MVの小道具、ビジュアル・コンセプトなどを含むあらゆる要素を歌代ニーナの楽曲から盗用したものであったことがわかったのです。しかし歌代ニーナの曲やMVが未発表曲であったことから当初は「未発表曲をどうやってパクるのか?」と言われていたのですが

    • ライブでは披露していた (NENEも聴いていた)
    • 音源もMVも2024年までに撮り終えていた
    • NENEの”OWARI”の冒頭にあった「Mood Board」という単語をそのまま使われた
    • “Mood Board”のMV制作に携わったスタッフが実はNENE側のMV制作チームにもおり、アイデアを持っていった疑惑

    などのことについて、かなり具体的な証拠の数々をSNS上で公開しました。これらは状況証拠に過ぎないものの、NENEが歌代ニーナに対してアンサーしなかったことや歌代ニーナの説得力がありすぎたことから、リスナーの間ではこのビーフは歌代ニーナの圧勝に終わったと考えている人が多いです。特にNENEがバイリンガルじゃないのにバイリンガル・ラッパーぶってることをあげつらって、曲の後半を全て英語でラップしてマウントをとるあたり、めちゃくちゃイヤな感じです。(褒め言葉)

    NENE本人が盗作に悪意をもっていたかどうかは分かりませんが、スタッフがかぶっていると疑わざるを得なくなりますし、結局はその意見を採用したクリエイター側にも問題があると思います。アンサーを返していないのも、リスナーから見れば「歌代ニーナの言い分を認めているように映る」のも自然なことです。

    そしてSKY-HI vs NENEの方は白黒つかないままだったのですが、SKY-HIは自身のラジオにNENEと長年親交のあるAwitch (エーウィッチ)をゲストに呼び、ビーフについて言及しました。話は「じゃ、今度NENEも含めてご飯行きましょう」で終わり、「何か進展がありそう!」「さすがAwitch!」とリスナーは歓喜したのも束の間2025年12月、SKY-HIは未成年女性 (17歳)との深夜面会を報道され、違法行為には当たらなかったもののちょっとした騒動になり自滅。

    先攻NEN Eの”OWARI”や”HAJIMARI”にあった

    私がこの闇暴く

    子供だました金で食べる寿司は美味いか?

    あの子もあの子も泣き寝入り
    沢山の被害者あるな?心当たり

    これらの歌詞がまるでスキャンダルのことを知っていたかのような口ぶりであるということで、NENE側の再評価に繋がりましたがそれをもってして「NENEが勝った」という認識にはつながりませんでした。

    名のある人同士でビーフが発生すると最終的にお互いWin-Winになるケースが多いですが、2人と比べると知名度で劣る歌代ニーナの途中参加によってビーフは全て食われた感があります。リスナーの中にも「これをキッカケに歌代ニーナを知れてよかった」「歌代ニーナの一人勝ち」といった感想が目立ち、僕も似たようなことを感じています。

    余談ですがNENEは2026年、サカナクションにも「お前、うちらのロゴパクッてるだろ」と因縁をつけていて全くこりてませんでした。

    日本のヒップホップ界にもたくさんのビーフがあり、それぞれが自分の曲で何かをアピールしたり、ヒールを演じてそれがネット・ミームになったりします。これまで、

    • 漢 vs DABO
    • 般若 vs ZEEBRA (ジブラ)
    • DEV LARGE (デヴ・ラージ) vs K DUB SHINE (ケー・ダブ・シャイン)
    • Mummy-D (マミー・ディー) vs BOSS THE MC (ボス・ザ・エムシー)
    • NORIKIYO vs ZEEBRA
    • MACCHO (マッチョ) vs KREVA (クレバ)

    など、デーキライだった者同士の数々の名試合が現在も語り継がれて、若い時の勢いはなくなりお互いにおじさんになって品がない戦いを辞めて、和解して一緒に曲を演ったりして、長年の中毒者達がエモがる展開も多いです。

    ビーフの多くはマス対コア (商業主義vs本格主義)のスタイル・ウォーズが原因で、危ないのは無名が有名に噛みつく売名行為や本当にモメている背景の動機が表面化するケース。ただの喧嘩するゲームになるとなかなか物騒ですが、基本的には暴力を使わず互いの道徳を通すための言い合いをするのがマナーになっています。

    2000年代はYZERR (ワイザー) vs 舐達磨のように類稀なる暴力沙汰に発展する報告があります。僕はそんな苛烈なパフォーマンスは真似すらできませんがそれも含めてヒップホップの良さ。ヘッズを続けていこうと思います。NENEと歌代ニーナもいつか一緒にエモい曲やってほしいですね。

    さて何回韻を踏んだでしょう。

    Midville’s
    中村