ギターが上達しない人の共通点

講師の中村です。
ギターを始めてしばらくすると、「全然上達している気がしない」「才能がないのかもしれない」「向いてないのかな…」そんな風に思う時期があります。生徒さんからこんな相談をされると一瞬ヒヤッとします。

 

これは「お前の教え方が悪い」というクレームか…?

 

いや、まぁ半分冗談です。僕はやれるだけのことはやっています。体験レッスンに来られる方の中にも、「何年か独学で頑張ってみたけど…」という相談は少なくありません。でも不思議なことに、本当に才能が原因だと思うケースはほとんど見たことがないのです。

今回は、これまでたくさんの生徒さんを見てきて感じる「上達しない人の共通点」について書いてみます。ちょっと、耳が痛いことも言うかもです。

目次

    シンプルに練習量が足りない

    身も蓋もない話ですが、練習を全然してないパターン。上達しない理由を探し始める前に、本当に練習しているかを振り返ってみてください。カッコよく弾いてる人ほど、陰では地味で退屈な練習を地道にやっています。週に1回10分ギターを触るだけで上手くなるなら、世の中みんなギタリストです。もちろん仕事や家事、育児もありますから無理はできません。でも上達している人は、なんだかんだ言いながら触っている時間が長いのです。

    今までより10分、15分程度でもいいです。なんとか捻出してみてください。大切なのは気合ではなく接触頻度です。

    動画ばっかり観てお腹いっぱいになってませんか??

    練習中の音量が小さすぎる

    “上手さ”は音量の中にもあります。つまり音に圧がある方がうまく聞こえし、練習の段階から音をしっかり出すクセをつけた方がいいという話です。小さく練習している人はとにかく悪いクセがつきやすいです。

    例えばアコースティック楽器の場合、弱い音で練習していると力の入れ方が不安定になり、粒立ちも悪くなったり、強く弾くべきところが弱くなったり、弱く弾くべきところが強くなってしまったり…。要するに力動的な演奏から遠ざかってしまいます。

    エレキギターの場合も同じで、アンプからの出力を弱くしすぎると、それを補うために右手で弦を力一杯弾く癖がつきます。これによって本来得られるべきサスティーンが損なわれたり、ペチペチとした音質によって演奏そのものが初心者っぽくなります。

    アコギもエレキも、音量はデカい音でやるんです。アコギは手加減すると正しく響いてくれませんし、エレキギターの場合はアンプ側でたっぷり音量を出しながら、優しく弾く練習をしないと脱力も覚えられないのです。

    通し練習しかしない

    残念ながら、部分練習をサボる人の演奏は聴いていればすぐに分かります。僕のところに通っている生徒さんも、伸び悩む人の多くはこれです。これはいかに「ミクロ→マクロ」な練習を取り入れるかで変わります。

    例えば誰かに習っているのであれば、最短上達術はレッスン中で注意された部分をメモしておいて (楽譜に書き込んで)、そこをひたすら部分練習→その部分の前後を含めた練習→そのセクション全体を練習→最初から最後まで通し練習の順番でやるのがオススメです。

    部分通しを伴わない練習は後半につれてクオリティが下がってしまいます。弾き始めの印象はすごくいいんですが、終わる頃には維持できないでしょう。

    暗譜に頼りすぎている

    僕があまり好きでない演奏スタイル、暗譜です。これは「早く弾けるようになりたい」という気持ちが焦っている方に多い現象です。暗譜するまで手を動かし続ける姿勢だけは素晴らしいんですが、これには大きな落とし穴があります。

    • ミスをすると途中でリカバリーがしにくい (通し演奏じゃないとできない)
    • 表現力が身につかない、ニュアンスを磨けない
    • 楽譜の指示を見落としたまま覚えてしまうと、修正に時間がかかる
    • 時間が経つと忘れてしまう
    • 臨機応変さがなくなる

    じゃ、どうすればいいのか?楽譜を見ながら弾くクセをつけましょう。楽譜を見ながら練習することで、少なくとも上記のデメリットはカバーできます。また、楽譜を見ながら練習した結果、手と耳で覚えたのであれば問題はありません。それは時間が経ってもそうそう忘れるものではありません。

    もう1つ、暗譜に頼らない方法は、理論です。曲の構造やフレーズのそれぞれを言葉で説明できた方が省エネですし、結果的に覚えるのも早くなります。

    我流を捨てられない

    YouTubeのレッスン動画の先生や、習っている先生から「こうした方がいい」と言われているのに対して、直す気がない方が一定数いらっしゃいます。これは”直させ方が悪い”という先生側のせいもありますが、そもそも我流を捨てる気がないという方は成長しづらいと思います。

    言われたことをやるだけで、ずいぶん変わると思います。

    何かを極めようと思ったら「自分を変えるストレス」がものすごく強いですが (僕も経験あります)、それすらも楽しめるくらい余裕が持てるといいですね。これは勉強も仕事も同じだと思います。

    参考動画が悪い

    レッスンでは生徒さんから「この人と同じようにやってみたい」と動画をシェアしていただくことがあります。その動画は原曲ではなく、よく分からない誰かが投稿した動画。こーゆうのを参考にし続けている人は、上達が遅い傾向があります。理由は3つ。

    • 1つ目は原曲の聴き込みが減るからです。中には原曲を全く聴かずに、そのよく分からない動画だけを参考にして取り組もうとする方もいます。原曲理解もないですし、作品へのリスペクトもない……そんなものは、本を読んだことがない人が書いた小説です。
    • 2つ目は単純に投稿者の技術不足。生徒さんたちからみれば「動画投稿してるからきっと上手いんだろう」という認識でそれを観ているのだと思いますが (あるいは「このレベルなら自分でもカバーできそう」かも)、僕からすると「これは真似しんとってほしい…」という例がたくさんあります。YouTubeにはめちゃくちゃ上手な人もいますが、なぜかそーゆう人の演奏は手本にされないんですよねぇ…。
    • 3つ目は演奏が作業化するからです。「手本があればできるが、クリエイティビティはない」という姿勢は上達を阻害します。ある原曲に対して「自分ならどうやって表現するか」を考える工程は上達する上でどうしても必要なんです。自分の意思や想像力が入ってないものは、演奏とは呼べません。よく言って”作業”です。

    悪い手本を観て、クリエイティブ作業まで退けてしまったら、どこに”音楽らしさ”があるのでしょうか。…まぁ、1-2曲くらいそーゆう回があってもいいかもしれませんが、それをコピーしても摂取できる栄養価は低いです。ジャンクフードです。ずーっとこれを続けていても、モノになりにくいと思います。

    もちろん、上手けりゃなんでもいい演奏というワケでもありません。それは演奏の魅力とは別の軸のお話ですので悪しからず…。

    できない部分から逃げる

    人間は苦手なことを避ける生き物です。避けること自体、悪いことではありません。しかし、避けて通れないことがあるのも事実です。

    例えば、

    • Fコードが苦手ならFコードが出てくる曲を避ける。あるいは簡略版のFを使う。
    • リズム感に自信がない人がメトロノームを避ける。
    • 耳コピが苦手だからTAB譜ばかり見る。

    気持ちは分かりますが、ちょっと避け方を見直した方が良さそうです。上達は①得意を伸ばしまくる作業と②苦手な部分を少しずつ潰す作業の2つです。しかし上記のようなことは避け続けると、数年後も同じところで悩むことになります。これらは潰していかないといけない課題です。

    上達を急ぎすぎる

    意外かもしれませんが、真面目な人ほど結果を急ぐ傾向にあります。「1年で上級者になりたいから自分を追い込む」「毎日1時間は絶対に練習しているのになんで上手くならないんだろう…」…そんなことを考え始めると苦しくなります。

    冷静になってください。今日やり始めたことが、その日のうちに血肉になるなんてことはありえないです。僕はそんな簡単なことを教えていませんし、あなたもそんな簡単なことに憧れたのではないはず。

    以前の記事でも書きましたが、音楽は短距離走ではなく長距離走。結果を急ぐ人は途中で燃え尽きます。灰になってしまったら風に飛ばされて僕も拾えません。

    ゆっくりでも続いている人の方が、結局は遠くまで行くのです。遠くまで行く人は、ちゃんと休憩をとっています。

    上手い人と比べすぎる

    SNSやYouTubeを見ていると、とんでもなく上手い人が山ほど出てきます。

    • 10歳で速弾きしている子
    • ギター歴1年でライブしている人
    • プロ顔負けの演奏動画

    でも比べる相手を間違えると苦しくなります。「この人たちにも苦手なことはあるんだろう」という気持ちを2%くらい持っておくと少しは楽です。それよりも比べるべきなのは過去の自分。今まさに人と比べて苦しんでいる自分を、明日のあなたが振り返ってどう思うでしょう。

    「昨日の私、チョロすぎ」

    それだったら、明日の自分がほんのちょっぴり苦戦するくらい、今日のうちから手を動かしてみるといいです。コードチェンジが昨日より少し速くなった。曲を最後まで止まらず弾けた。それだけでも十分成長と言えるのではないですか?

    ここまで色々書いてきましたが、結局のところ僕が一番感じるのは「結局続けた人が一番強い」です。上達する人に共通点があるとしたら、「辞めなかったこと」「諦めなかったこと」。上に登るための階段にも、”休憩”や”方向転換”をするための踊り場が存在しますよね。伸び悩む人は今踊り場を歩いているようなものです。

    僕自身も特別な才能があったとは思っていません。ただ気が付けば長いこと続けていただけです。ギターは不思議な楽器で、続けている限り少しずつ上手くなります。だから今もし上達していない気がしていても、そんなに悲観しなくて大丈夫。才能や努力というフワッとした言葉に負けて途中で諦めてしまうより、自分なりのペースで続けてみてください。

    Midville’s
    中村