「ギターを弾くセンスがある」…ッて何?

講師の中村です。
レッスンをしていると、「やっぱりセンスがないとダメですよね」という言葉を時々聞きます。Fなどのバレー・コードがうまく押さえられない、コードチェンジが間に合わない、リズム感にも自信がない。そんな時、人はつい「自分には才能がないんだ」と考えてしまいます。

今回は、ギターにおけるセンスについて僕なりの考えをまとめますのでシェアします。

目次

    そもそもセンスとは何なのか

    「センス」や「才能」という単語は日頃、かなり便利に使われています。なんとなく皆さん、センスや才能の意味を「ちゃんと咀嚼してないにも関わらず、直感的にこなせてしまう人」のようにとらえていませんか。論理的な思考を介さず無意識に行われた、生まれつき備わっている鋭い感覚というか…、まるで、努力して得たものとは真逆の、どちらかというと超能力に近いような存在であるかのような…。

    残念ながら”直感的に何かがわかるとか”直感的に何かができる”というのはそういったSF的なものではなく、むしろそれまで積み重ねてきた情報や経験の中から処理されていると考えられています。つまり、”センス”はそれまで培ってきた土台が重要なんです。生まれつき持ってなかったからといって、一生手に入らないようなモノではありませんし、これからいくらだって磨くことはできます。

    だから一般的に「センスがある人」「才能がある人」と呼ばれている人は神通力などではなく、人生のどこかで何かを頑張った経験があるんでしょう。そしてその上で、過去の知識や経験をギターに援用する機転がたまたま効いたのだと思います。

    センスに頼りすぎると頭打ちする

    僕の勝手なイメージですが、「なぜか最初からそつなくこなせてしまう人 (センスや才能がある人)」と「そうでない人」の上達曲線はこんな感じです。

    加速がいいのはやはり「なぜか最初からそつなくこなせてしまう人」。できるから楽しいし、モチベーションもそれなりに高い状態で維持されます。ただし深い分析をせず、直感だけで弾いていると、一定のところまで来た時にピタッと止まってしまい、大きな挫折につながるという傾向もあります。逆に「そうでない人」は初速は滑らかですが、一度ブーストがかかると伸び方は指数関数的といってもいいです。

    これはどちらがいいか、という話ではなく、あなたはどっちかですよ、という話。
    行き着く先で見える景色はどちらもそんなに変わらないような気がします。

    センスがないと思っている人へ

    自分にはセンスがない、才能がないと思い込む真面目な方は多いです。そんな時フォローとして

    「努力することこそが才能だよ」
    「続けるにはセンスがいるよ」

    などといった言葉ををかけることがあると思いますが、個人的にはそのような使い方は好きではありません。「自分にセンス、才能がない」と思い込んでいるのは、単に”自分のできていないこと”にフォーカスしすぎであったり、問題の部分ばかりを見ているだけだからです。今できないことを自責せず、去年できなかったことができるようになっているとか、曲のレパートリーがどれだけ増えたとか、自分が積み重ねてきたこと、できるようになったことをもう少し振り返ってみてください。成長を見落とすのはもったいないです。その蓄積によって直感が鋭くなれば、それはセンスになりますから。

    あまり真面目に自分を見つめすぎるのも考えものです。

     

    僕が見てきたセンスある人の共通点

    プロでもアマチュアでも「この人、魅力的だなぁ、センスあるなぁ」と思う人には共通点がいくつかあります。

    1つ目は、マイペースでいること。↑こちらの記事 でも書きましたが、自分のペースを知っているということは結構強みです。長続きしますし、情熱はあっても執着はしないという絶妙な距離の取り方ができます。

    2つ目は、楽しんでいること。どんなに上手くなっても、ずっと壁にぶつかり続けることになりますし、その日の調子によってできたりできなかったりすることもあります。楽器のコンディションだって季節ごとに変わるので、思ったように弾ける日なんてそうそうないのです。それほどに音楽は玄妙だということです。だからもっと「音楽ができていることが楽しい」「コンプレックスもひっくるめて好きだ」と心から思えるのが音楽の良さ、音楽がもたらしてくれるウェルネスです。

    3つ目は、好奇心が異常に高いこと。こーゆう人は、自分の身の回りにある全てのものがインプットの対象になっていて、知識や技術の足腰がかなり強い傾向があります。また色んな意見に積極的に触れていくと柔軟な考え方を持てるので、好奇心の強さは何かを学ぶ上でかなり活きます。

    4つ目は忍耐力です。例えば孤独に対する忍耐力、キツい追い込みに対する忍耐力、人と比べないでいる忍耐力など、あらゆる面で忍耐力はプラスに働きます。

    先ほどの節で「あまり真面目に自分を見つめすぎるのも考えもの」と言いましたが、魅力的な人ッてなぜか”ほどよく適当な人”が多いんです。これは決して不真面目とかサボり癖があるという意味ではなくて、上記で書いたことにも一部繋がります。例えば①情熱はあるけど執着はしない、②ミスや短所は「ま、いっか、次頑張ろ〜」で済ませられるという生き方は、結構脱力感があります。一方で③物事を表面的にとらえずに深く知ろうとする姿勢や、④好きなことはとことんやりつめるという高い集中力もあって。

    こーゆう人は愛されると思います。周りが「なんとかしてあげたい」と思うようなアンバランスさがありますので。

    音楽をやる上で、「センス」というフワッとした言葉に惑わされないようにしてください。その言葉を使う人の多くが、その言葉の意味を定義できてないと思います。センスは超能力ではありません。これまで見てきた景色や経験が、あとから形になって現れたものです。

    Midville’s
    中村