講師の中村です。
ギターを始めたばかりの方からよく聞かれる悩みのひとつに、「指が痛いです」「手首が痛いです」というものがあります。
さて、「指が痛い」と言っても実際には人によって痛む場所が違うものです。
・指先が痛い
・親指の付け根が痛い
・手首が痛い
・腕がだるい
など、痛む場所は様々。10年選手のプレイヤーでも痛い時はありますので、何も初心者の方だけが抱えている痛みということではないのです。
僕自身もギターを始めた頃は、指先のギターだこの痛みに悩まされましたし、ちょっと弾けるようになると今度は左手の握り方に変な力が入りすぎてて、15分も弾けば手首の痛みとの戦いになっていました。ライブが多かった頃は親指の付け根の痛みもが辛かったです。
今回はギター奏者によくある痛みの原因と、その対処法についてお話ししたいと思います。
目次
指先が痛い
初心者の方に最も多いのが指先の痛みです。まぁ、成長痛だと思ってください。練習を頑張っている人のところにしか来ない痛みで、ギタリストとしてのあなたをレベルアップさせてくれます。
ギターの弦は細い金属です。慣れていない指先で押さえ続ければ痛くなるのは当然と言えば当然ですね。特にアコースティック・ギターはエレキギターより太い弦を使いますし、弦の張りも強い傾向があるため、指への負担は一層強くなり、痛さを感じやすくなるかもしれません。しかも人間の体は指先など先端に行くほど痛みを感じやすいものですから、指の痛みって結構辛いんですよね。
この痛みが出たら、無理をせず一旦休む判断を入れてください。今は辛いかもしれませんが、いずれ防衛本能が働いて指先が硬くなり次第に気にならなくなってきます。わざわざ痛みに耐えて練習する必要はありません。無理は禁物。「今日はそこまでにしとけ」というサインだと思えばOK。
親指の付け根が痛い
これはレッスンでもよく見かけます。原因の多くは、「握りすぎ」です。自分では気付かない方が多いですが、実際にはネックを握り潰さんばかりの怪力で音を出そうとしている状態ですね。特にFコードやBmコードなどのセーハ・コード (バレー・コード)で起こりやすい症状です。本来ギターは握力で押さえるものではなく、「押弦」という言葉が示す通り弦を押すだけでいいのです。(実際には押して固定する感覚です。)
親指はネックを支える役割がありますが、必要以上に力を入れる必要はありません。また、下の画像のように親指は寝かせる (青丸)のではなく立てるように押さえる (赤丸)とよいです。
あなたがギターを弾いている姿を正面から見た時に、親指が”見えすぎている状態”はベストではないと考えます。この押さえ方は初心者にはオススメしません。指の動きが遅くなります。
親指を痛めにくいフォームは下の画像のような感じです。
手首が痛い
手首の痛みは少し注意が必要です。その多くはフォームに問題があると思われます。手首に痛みが出始めたら、ちょっと長い付き合いになってしまうかもしれません。
例えば、この画像のように手首を極端に曲げた状態で長時間弾いていると負担が蓄積します。
この状態でも、親指に力が入っていなければさほど問題はないのですが (中長期的には問題あるかもですが)、左手首を前に突き出した状態で強い握力をかけると手首を痛める可能性が高くなります。
痛みが出ないように、脱力を覚える
多くの先生は「脱力が大事だ」と仰います。その通りです。しかしギターにおける脱力とは「すべての力を抜いてフニャフニャになること」ではなく、「必要な瞬間にだけ最小限の力を入れ、不要な筋肉を休ませること」です。左手の指がバタバタしている、肩が上がっている、すぐに手が疲れる、なぜか演奏後呼吸が荒くなるなどの場合は、無駄に力が入っていると考えられます。脱力のやり方はいくつかあるのでシェアします。
①ノる
レッスンでは頻繁に言うことですが、音楽は基本的に体を動かすこととセットです。ダンサーだけでなく、特に楽器隊は演奏中に頭を振ったり足でカウントすることで、細かい身体操作をより確実なものにします。そしてノッている間は、力む暇などないはずです。体を動かしながらの演奏によって表情に余裕が出ます。
②呼吸をゆっくりにする
ムキになって弾いている時、人はたいてい息を止めています。もちろん、部分的にそーゆう瞬間があっても問題はありませんが、曲の頭から最後まで演奏した後、なぜか息切れする場合は確実に長時間にわたって余計な力が入っています。僕の場合、ゆっくり腹式呼吸を意識し始めてから、徐々に左手の指がバタバタしなくなり、音がなめらかに繋がるようになりました。
③カッコつける
ギターを弾く人が魅力的に見えるのは、ギターがもたらしてくれる姿勢そのものに美しさがあるからです。なので、鏡の前でギターをかかえて、かっこいい姿勢を作ってみてください。すると分かるはずです。肩に力が入っているとかっこよくなりません。まずは自分の姿勢をメタ認知。
痛みがある時は休む勇気も大切
一定期間筋トレをしたことがある人なら分かると思いますが、実は上達には間を空けることも重要です。筋肉痛が治らないうちに次のトレーニングに出ても、体への負担が大きく筋肉はあまり身についていないこともしばしばあります。
ギターの練習によって手が痛い時もそうです。数日間を空けて様子を見るとか、湿布を貼って養生するとか、練習はそういったケアと必ずセットで行うのがベターです。もちろん、負担にならない程度の練習 (例えば自分で決めてるルーティン・ワーク)は毎日しても構いませんが、脱力ができていない段階での長時間練習は危険ですので、注意深く見ながらやることが大切です。
真面目な人ほど、「もっと練習しないと」と考えるでしょう。確かにギターは頑張れば頑張るほど上達する楽器ではありますが、そもそも長時間の練習に耐えられるかどうかには個人差があるものです。しかし身体が痛みを出している時は、休息が必要なサインだと考えるべきです。手の痛みは日常生活に影響します。ゴルフのスイングができない、片手でフライパンを持てない、犬の散歩ができないなど…色々。数日休んだからといって、今までの努力が無駄になることはありません。
むしろ最近の脳科学の研究では休憩中の脳の動きが注目され、人間は「何もしない時間」に上達しているという話まであります。遠慮なく休みましょう。
僕自身が助けられた鍼治療
これはあくまで個人的な経験ですが、僕は長年ギターを弾いてきた中で鍼治療に何度も助けられてきました。
ギタリストはどうしても、首、肩、肘、手首などに負担がかかります。マッサージやストレッチももちろん有効ですが、僕自身は鍼治療との相性が良く、定期的なメンテナンスとして利用しています。(月に1回とかですが。)
鍼を浅く、たくさん刺して放置するタイプ (置鍼)ではなく、1本の鍼を患部に直接刺し込んで刺激するタイプ (即刺即抜: ソクシソクバツ)が個人的にはオススメです。鍼と聞くと痛そうですが、本当に痛いのはチクッという痛みではなく、凝っている部分に鍼が当たった時の鈍い一瞬の痛みです。その痛みを超えると、凝りはその日中になくなり、血流が良くなったせいかよく眠れます。
もちろん効果には個人差がありますし、すべての方に合うとは限りません。ただ、先ほども書いたように「身体のケアも演奏技術の一部」と考えた場合に、何をすればいいのか分からないという方が最も手軽にできる方法の1つではあると思います。
手の痛みはそれぞれ原因や対処法が異なります。大切なのは、「痛みを我慢しながら弾くこと」ではなく、「なぜ痛いのかを知ること」です。ギターは長く付き合える素晴らしい楽器です。だからこそ、身体を壊すほど無理をせず、少しずつ続けていける方法を知っておく必要があるのです。もしフォームに不安がある場合は、一度経験者に見てもらうのもおすすめです。自分では気付いていない原因が見つかるかもしれません。
Midville’s
中村

