講師の中村です。
AI作曲の話。
最近音楽もAIジェネレータを使う人が多いらしいので、僕も使ってみた。
結論、ほとんどよくない。
国内外合わせてだいたい10個くらいのサービスを体験してみたが、長短がかなりあり「無料版は1日5曲までしか作らんで」「曲作ってもダウンロードはさせへんよ」「ウチはダウンロードさせたるけど1曲30秒までな」「商用利用するなら有料版にしてな」「あ、でも有料版だからと言っても無料版とクオリティは変わらんで」みたいな感じ。それでも1-2分そこらで一曲作られたら最初は「すげー」ッてなっちゃうよね。
ただ、AIジェネレータッてのはネット上に散らばっている虚実混交な既存情報をスピーディに組み合わせているにすぎない。ゼロイチで何かを生み出しているように見えるが、「まだ誰もみたことがないアート」は作ってくれないし、”AIッぽさ”みたいなのも色濃く残るので、チープな作品を世の中に大量にスポーンさせているような感じ。
こーゆう、AIジェネレータで描かせたイラストに独特の気持ち悪さがあるように作曲にも同じような違和感がある…。
約10のサービスを通じて分かったことは1つだけ。生成された曲は完全に不完全で、出来上がった曲をそのまま使えるほどの感動はない。あと数年待てばもっとマシになるだろうか?今のところはこれを叩き台にして自分でアレンジしたり演奏する以外ない。そーゆう使い方ならまだあるかもしれない。
中でも使いやすかったのはUDIOとSUNO AIというサイト。この2つ、どうやら最大手らしいが、これらのサイトでは曲のイメージを打ち込めば1分ぐらいで曲を作ってくれる。AIッぽさは多少あるものの、正直悪くなかった。
下の動画は、SUNO AIにジェネレートさせた音源。一度聴いてみてほしい。ちなみにタイトルも自動で生成されて、この曲は”Echoes of Yesterday (エコーズ・オヴ・イエスタデイ)”というらしい。
どうだろうか?めっちゃいい、ッて感じもないけど、ツッコミどころも少ない。無難な感じ。
この曲を作るにあたって設定したキーワードは「1970年代」「アメリカ」「ソウル」「ギター」「インスト」など。結果としてBarry White (バリー・ホワイト)をインストにしました、みたいになった。PCのスピーカーレベルではミックスもそんなに悪くないし、これで十分満足!という人もいるだろうね。ちなみに希望すれば歌詞も自動で作ってくれる。ただ、サイトが英語にしか対応してないので英語が分からない人は心が折れる。これから音楽活動したい人、ホントに英語やっとけよ。
他にも画期的だなと思ったのはOpen AI社がやっているJukebox。使いこなしている人がどれだけいるか分からないが、Jukeboxで作られた曲をYouTubeで検索すると「もしもThe BeatlesがRadioheadの”Creep”を歌ったら」とか「もしもNirvanaがThe Beatlesの”Help”を歌ったら」みたいな音源をAIで生成することに成功した人がいた。
Jukeboxはプログラミングの知識がいるので、もう文系の人はさようなら案件。そして生成までに何だかんだ20-30分要する。しかも仕上がった音質の解像度が悪くあまりにもファジー…。Googleが開発したMagentaというソフトもプログラミングで作曲するタイプらしいが、こっちはWindowsのみ対応なので僕は試してない。
同じJukeboxという名前で別の作曲サイトがある。こっちは機械学習アプリを開発しているHugging Face (ハギング・フェイス)社が作ったもので、同じく英語しか対応していないが簡単な単語で読みやすいし、直感的にできる。そして無料。ただし30秒までしか作ってくれない。興味があれば訪れてみるといい。[リンク]
SonyのFlow Machinesというアプリも使ってみた。ジャンルや雰囲気を選ぶと、画面にコード進行とメロディが生成される。
これらのコードやメロディは自分で編集可能になっているので、いい叩き台になってくれる。まぁ、作曲アプリというより、メロディのヒントになるくらいのものだが、コード名が出てくるのはギター弾きにとっては結構ありがたいはず。PC版はどうも重いらしく、数回にわたってフリーズしたから、スマホ/タブレット版の方がもしかしたら優秀かも。
今回は試さなかったが、選択肢としてはDAWソフトのAI作曲プラグインという方法もあって、これならDAW上でそのまま編集できてレコーディングからレンダリングまで一貫してできるのでクリエイター的にめちゃくちゃ好都合。残念ながら周りで使っている人を見たことがないし、あーゆうソフトはなんだかんだ高いので試すにはちょっと気が引ける。
極論、プラグインを使いこなすまで時間で楽器練習した方が金もかからないし手っ取り早い気がしないでもない。
まぁ、とりあえず結論として、作曲はまだAIには任せられない。
そりゃAIなら好きなジャンルや年代に合う音楽をそれなりのクオリティですぐ作ってくれるし、それが1-2分そこらで出来あがるんだから感動もデカい。でもその感動ッてやつは、自分が単に知らなかったことを見知った刺激によるもので、他の人は昔から当たり前に知ってることだったりするから、AIで作った曲には新しさとか、特異性とかがあるワケじゃない。
人の手で作ったからといって完全に新しいとも限らないんだけどね。僕らは所詮、誰かが積み重ねた音楽作品、音楽観、理論や科学に乗っかっているだけだから。Isaac Newtonが言った「巨人の肩の上に乗る矮人」というやつ。
そう言うとロマンのカケラもないが、僕が言いたいのは、音楽家の本分はいかにテクニックを磨いてひけらかすかとかじゃなくて、自分にしか鳴らせない音とか、自分にしか書けない言葉とか、技術、仕上がりとかを模索することも含まれるッてこと。イントロを聴いただけで誰の曲か分かる時、ない?僕は結構あるよ。もうイントロからその作者の個性が滲み出てる時。サザンオールスターズとか、スピッツとかはそれがわかりやすい。こんなのお金とか時間で交換できるモノじゃないし、AIにも多分そこまではできないと思う。たくさん曲を作って自分らしさを追求しない限り得られない。他の人ができないことができてこそ、僕はアーティスト (職人)だと思う。
AI作曲で色々試しているうちに、そんなことを思った。
Midville’s
中村
