講師の中村です。
なんともバカバカしい、でも興味深いYouTube動画を見つけたので皆さんにシェアします。
スウェーデン🇸🇪出身のMattias Krantz (マティアス・クランツ)は楽器が大好きな青年。いつも突拍子もないアイデアを、大胆な行動力によって実現させるエンタメ系のクリエイター。僕が知る限り最もくだらない企画 (←最大の褒め言葉)がこれ。
(クラシック・ギター用の)弦を、クモの糸で代用する
日本語の吹き替えや字幕がないみたいなので、僕のお手製翻訳でご紹介してまいります。
目次
イントロ
冒頭のナレーションはだいたいこんな感じのことを話しています。
「ギターの弦が切れたら、クモの巣で新しい弦を作ることが理論上できる。」子供の頃からずっとこの発想に興味がありました。このアイデアを実現するために森に出かけたのだけど、これが思った以上に難しい。というのも、クモは本来、1本1本の糸を長く作ることはできないし、それ自体が非常に弱いからだ。しかしクモの専門家の助けを借りるなどして、僕はその後数週間かけて計画を練った。分かったのは、非常に特別なクモが必要だということ。そのクモは鳥でさえも捕らえることができるほど強力な巣を作り、マダガスカルとかいうクソ遠い場所に生息するらしい。それじゃ、行ってみよう。
ちなみに、マダガスカルはここです。アフリカ大陸の右下あたり。
マダガスカル共和国
マダガスカルはアフリカの東部に浮かぶ島国。僕は自然の豊かな場所が好きなので一度行ってみたい場所の1つです。
可愛らしいキツネザルや巨大なカメなど、この島にしか生息しない独自の動植物がたくさんいることで有名です。
余談ですが僕が現在メインで使っているアコースティック・ギター、Morris SC171 Bevelは横と後ろの板にマダガスカル・ローズウッドを採用しています。ブラジリアン・ローズウッドほどではないですが、希少材と言われているマダガスカル産の木材です。
Morris SC171 Bevelに関しては詳しくは下記の記事で紹介しています。
まずは現地の人にリサーチ
マダガスカルのホテルに着くなり、ホテルの近くで道ゆく人に声をかけていきます。「クモを捕まえたいのですが、この種類を見たことがありますか?」
しかし、重要な手掛かりを得ることはできず結局、捜査は難航。一旦自分で探すことにします。※BBCのくだりはもちろんボケです。
キャップを被り、ホテルの近くの森の中に入っていきます。進んでいくと、従業員が住んでいる建物を発見。その屋根に、お目当てのクモが巣を張っているのを見つけました。早速交渉。
従業員の女性は快諾。捕獲に必要な木の棒まで貸してくれ、1匹目のクモをゲットしました。
ミルキング
初めて知ったのですが、”milk”は動詞だと「搾乳する」以外にも「抜き出す、引き出す、絞り出す」などの意味があるんですね。まぁ、意味的にそれほど遠くないにしても、クモの糸を引き抜くことにもmilkを使うなんて意外でした。
Mattias Krantzは恐る恐るクモを取り出し、画像のように針で体を固定しながらピンセットで繊細に糸を引っ張り出しました。ある程度の量を取り出した後、クモを自然に返してやりました。
長い弦を取るには?
残念ながら採れた糸はあまりにも短く、弦として使うにはまだ不十分でした。そこでMattias Krantzは、現地の人にお願いして廃棄同様の自転車を調達します。
車輪の溝に糸がくっつかないよう、車輪を少し改良して十分な長さの糸を引っ張り出すことに成功しました。そしてこれをもっと大規模にするために動きます。
それにはクモの数が足りないと言い、ホテルのスタッフの協力を得てチラシを配ることにしました。
村人の努力
現地語の「クモ」を教えてもらい、Mattias一行は村に赴きます。大きいものなら4,000アリアリで買い取ると言って、みんなにチラシを配っていきました。
4,000アリアリは日本円で約130円程度。マダガスカルの物価は日本の1/3ほどだそうなので、4,000アリアリあればだいたいドリンク2-3杯飲める金額だとのこと。
こうしてすぐに”ア・ラ・フォカ”を集めることに成功しますが、ホテルに戻った彼らはスタッフからクレームを伝えられます。「ものすごくたくさんの人が来て、レストランの営業に支障が出ている。」と。
なんと村の子供たちを中心に、たくさんの”ア・ラ・フォカ”を持ってきた現地の人がホテルに集まってきていました。その大きさを1つ1つ測ってお金を渡していくのですが、あまりにも多くて本人も苦笑いしています。
このシーンめちゃくちゃ笑いました。
こうして50を超える大量のクモが手に入れることができたのですが、このクモは人に噛み付く危険な種類であるため、部屋に戻ってもクモの扱いに苦戦します。
問題発生
せっかく集めたクモですが、慎重に糸を取り出しても必要な量の確保は困難でした。クモが弱ってしまい、それが糸にも影響して途中で切れてしまうのです。
「クモは好きじゃないとしても、虐待したいワケじゃない。」
結局彼は、村人の助けによって集めた大量のクモを野に返すことにしました。これで振り出しに戻ってしまったのです。
この時点で採取した2kmに及ぶクモの糸を自転車の車輪から外して保管しておくことに。
夜が明けて、「計画は再び軌道に乗った」と報告するMattias Krantz。彼は新しい方法を提げて撮影を再開しました。
一度にミルキングできるクモの量は20匹まで。なのでそれ以上の乱獲はせず、クモが弱ってしまう前に野に返し、追加の20匹をホテルの人に調達してきてもらうという考えでした。
続けて彼はナレーションでこう言いました。「僕の天才的なアイデアには1つ考慮すべきことがあった。それは、ホテルの従業員にはホテルの仕事があるということだ。だから安定した供給は期待できない。僕たちは新しいサプライ・チェーンを探す必要があった。」
その新しい供給元として彼は「児童労働」を考えていたのです。
村の子供、再び大活躍
今回は大きいものを500アリアリで買い取ると言って子供達に探させるようにしました。好奇心かお金のためか、子供達はまたもクモ探しに積極的に参加してくれました。
こうしてまた安定的なクモの供給が可能になったMattias Krantzは、昼はクモ採取、夜はミルキングというサイクルで数日過ごします。
しかしまだ事件は起こります。
スパイダー・ヘブンと弦の完成
Mattias Krantzは”スパイダー・ヘブン”を発見しました。そこは工場か廃墟かわかりませんが、とにかくたくさんのクモいて、これまでにないほどの巨大な個体を見つけることもできたのです。
めちゃくちゃデカいですね。スパイダー・ヘブンで獲ったクモたちのおかげで、6kmに及ぶ大量の糸を取り出すことができました。この糸の束を1本に紡いでいくことで、糸に耐久性を持たせて弦にしていきます。
弦の耐久性を確かめるために、パイナップルを吊るしてみると、なんとか耐えられることがわかりました。
(…が、クラシック・ギターの弦の張力は少なくとも6-7kgくらいはあるはずなので、ちょっと不十分なのでは…と思いますが。)
まぁ、ひとまず弦が完成したとのことなので、今度はギターの調達。村に行き「どこでギターを買えるか?」と聞いて回ると、「ギターを探している人がいる」という噂がすぐに広がって、ホテルに直接クラシック・ギターを持ってくる人が現れます。使えないものもありましたが、あるホテルのスタッフがキレイなギターを持ってきてくれ、Mattias Krantzはそれを買い取ることにしました。
クモの糸は弦の代用品となり得るのか?
果たして弦は切れずに音が安定するのか?そして弾き心地はナイロンのそれと同じなのか。
ちなみに弦の表面をズームしたものがこの画像。表面がざらざらとしていて、ナイロン製の弦とはずいぶん違うように見えます。
1弦はE (ミ)の音なので、結構負荷がかかります。Mattias Krantzはゆっくりと、そして恐る恐るチューニングをあげていきます。
ほとんどEの音に近づいた頃、
やはり切れてしまいました。
クモは〇〇!!
彼は半日落ち込んだ後、切れた弦をもう一度結って再挑戦し、今度は2弦に装備しました。
音は出ますが、やはり思っていたのとは違うみたいです。聴いてる分にはサスティーン (音の余韻)は非常に短く安っぽい感じがします。結果として、「クモの糸は弦にならない」という締めくくりでした。
Mattias Krantzがスタッフに「この8日間は価値があったか?」と聞くと、「全く。」と答えた後、加えてこう言いました。
最後に、小さなギターに弦を装備して、外に出かけることにしました。小さいギターはスケール (弦長)が短い分弦の張力の弱いため、切れづらいのです。
ミニギターへの装備はそう悪くなかったみたいです。
協力してくれたホテルのスタッフや村人にも結果を見てもらうべく、彼らはこれを持って部屋を出ていきました。
ちょっと面白かったのは、村の人たちのリアクションが思ってるよりかなり薄かったり、あんなに協力してくれた子供達からは
この反応だったこと。
Mattias Krantzは他にもネックが360°回転するギター&ベース一体型の楽器を作ったり、面白い試みをたくさんしています。Mr.Beast (ミスター・ビースト)やMark Rober (マーク・ローバー)のように、日本語吹替されている海外のYouTuberもありますが、Mattias Krantzもいずれ吹き替えされることを望みます。
Midville’s
中村

