
知られざる”効果音職人”という仕事
講師の中村です。
また興味深い動画に出会ってしまいました。今回はフォーリー・アーティストについて。
フォーリー・アーティストとは?
世の中には”効果音職人 (フォーリー・アーティスト)”と呼ばれる人たちがいます。正式には”音響効果技師”というお仕事なんですが、彼らは映画やドラマ、ゲームなどの効果音を録音して映像にミックスします。映像の細部までチェックしてどのような音が必要かを見極め、身の回りにあるあらゆる道具を使ったり、録音ロケをしてよりリアルな効果音をアテレコていくことを仕事にしており、それを専門としたレコーディングスタジオが存在します。

日頃から音に対して繊細な感覚を持っていないとできない特殊な仕事だと思います。その上、録音した素材を良いバランスでミックスする技術も必要ですし、時には砂や水を被ったりすることもあるため、なかなかの肉体労働です。
YouTubeに特集されたアメリカ人フォーリー・アーティスト
すごいですよね。『ゴッド・オブ・ウォー』はゲームに疎い僕でも知っている有名な作品です。微に入り細を穿つとはまさにこのこと。たかが効果音とはいえ、クオリティひとつで説得力が全然違う。
ちなみに台湾では『擬音 -A Foley Artist-』という映画が制作されています。台湾映画界で40年以上に渡り音響効果技師を務めたHu Ding-Yi (フー・ディンイー)のドキュメンタリーだそうで、日本では2022年に公開されたと書かれています。
作品の裏を知ると一層愛着がわく
スタジオジブリの映画『千と千尋の神隠し』で使われる効果音もかなり手が込んでいると特集されている資料映像のようなものを昔観たことがあります。
想定されるであろう音を実際に大きな旅館に行き、お風呂のシーンのために実際の旅館のお風呂での音の響きを録音したり、調理場のシーンのために旅館の調理場を録音したり…かなり大掛かりなロケが行われたそうです。
日本のフォーリー・スタジオは大体制作会社の一部として組み込まれていることが多いので、みんな自分のところで音響作っちゃうんですね。
ところでスタジオジブリの効果音といえばこの方。

サウンドエンジニアの笠松 広司さんが映画『風立ちぬ』にて、効果音を全て”口だけで録った”という話があります。これは彼自身のアイデアではなく宮崎 駿監督の指示だったそうです。これまで色々なジブリ作品に携わり、声や口で表現することはたくさんあったそうですが、それで全て録るという試みは初めてだったとのこと。映画は僕も何度か観ましたが、全く違和感ありませんでした。
知らない人にしてみれば「音響さん」というとただの裏方のように聞こえますが、こーゆう分野では代わりの効かない”技術”が存在しています。そう思うと一層作品に愛着がわくものです。
Midville’s
中村
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中村
音楽講師 / ビートメイカー
『井上 陽水英訳詞集』 著: Robert Campbell <講談社>
ただ翻訳をしただけでなく、なぜそう訳したのかをあまり難しい言葉を使