ギターの音楽理論はどこまで必要?「いらない」と割り切る前に知っておきたい、感覚を形にする方法

ギター講師の中村です。
今日のテーマは「音楽理論なんて要らない」と言う意見についてです。SNSでは年に1-2回議論になる話題ですね。

結論から言うと僕は「要らない寄りの要る派」なんです。と言いますのも、この議論をする前に”音楽理論とは何を指しているか”の定義が欠けています。そこから話さないといけません。そしてそれを定義すると、「要る/要らないの二元論で語れないのではないか」という方向に思考が向かっていきます。

今回の記事ではこの議論に僕なりの考えを書きながら、理論勉強の取り組み方にも少し触れていきます。

音楽に限りませんが、「知識は、知っている人の味方をする」のです。何も勉強してない人が「理論なんて全くいらない」と煽っているのをよく見かけますが、ただ強い承認欲求とコンプレックスを抱えたギリギリの人なので放っといてOKです。

目次

    音楽理論、実は「後から勉強」でOKなワケ

    音楽を追求することは大海原で迷子になるようなものです。広く、深く、危険で、果てしない。どういうワケか人間は太古の昔からこの無形文化ものを、すぐそばに置いて親しんできました。

    音楽に限りませんが、理論は後からできていることが多いです。もちろん、その後からできた理論を用いて新しい発見がされているケースもありますが、原則、音楽理論とは音楽がもつ予定調和な法則やルールに名前を付け、説明したものにすぎないです。なぜその響きが成立するのか、この音が交じり合うとどのような調和を生み出すのかなどが理論の中身です。

    ただ、そのどこからどこまでを理論と呼ぶのか、実際のところは決まっていません。楽器やオーディオ機器を製作する上での音響物理学も音楽理論でしょうか?演奏に関する理論も含むなら、身体操作や身体運動学も音楽理論になりますか?これは決まっていないのです。

    結局、多くの音楽学習者にとって理論とは”得体の知れない大きな何か”でしかありません。そんなことについてあれこれ考えても仕方ないのです。音楽を習う人であれば、理論は後回しにして先に演奏やパフォーマンスにもっと多く触れるべきで、理論は時が来たら後から学ぶのが自然な流れだと僕は考えています。

    ある程度の経験を積んだ時、自分ができること、鳴らせる音を言語化してくれるのは間違いなく理論書であり、音楽を通じて色々な気付きが得られると思います。要するに「できる人」が学ばないと効力が弱いのです。

    音楽って実は理系学問?理論が難しい理由を解説

    音楽ッて、難しいんです。こう見えて”学問”ですから。しかも実は理系学問なんです。深く学んでいくとかなり数学ッぽいところがあります。

    「音楽が数学ッぽいだなんて、まだ信じられない」というあなたに根拠をいくつか示します。
    ・音程は整数比で決まる
    ・音符の長さは分数で表現される (四分音符は1/4、八分音符は1/8など)
    ・ドレミを見つけたのは数学者ピタゴラス
    まだありますが、まぁ信じるに足る情報かと思います。

    音楽は現代でも物理学、医学、心理学などとも密接に関わっていますし、中世の時代から幾何学、算術、天文学と並んで「人生をより豊かにする教養」として学ばれていました。(リベラル・アーツと言います。)

    現代の日本では「芸術」のくくりで文系でも理系でもないと見なされていますが、西洋諸国では今も音楽は”理系学問の一種”として扱われている向きが強いです。

    理系学問ッて難しいでしょう、だから音楽が難しいのはデフォルトなんです。独学で学ぶには結構茨の道かもしれません。

    もちろん理論の全てが数学的というワケではありません、むしろ暗記モノばかりです。

    にも関わらずギターやウクレレの奏者の多くはドレミすら分からないまま運動的にまたは作業的に演奏をしてきているというビハインドがあるため、一層ハードルが高く感じることでしょう。

    だから闇雲に『楽典』の1ページ目から読み始めるんですが、そんなの挫折しにいってるようなものです。やめましょう。

    理論の勉強は「断片的に学ぶ」が基本

    従前に書いたように、あくまでも自分がやってきたこと (できること)を言語化するために理論を学ぶこと、膨大な情報の中から法則性を整理して一括で覚えるのがポイントです。

    また理論にも様々あります。ポピュラー音楽なのか古典音楽なのかで取り組み方は変わってくるし、楽器によっても考え方がそれぞれ違うし、使わないもの覚えたって仕方ないので、必要な分だけ人からサッと教えてもらうのがいいと思います。独学ではなく、実践を交えながら。動画は有益ですが一方通行だし、本は買って満足するのオチなんで。

    「必要な分だけ」というのは例えば、作曲に必要な知識、アドリブに必要な知識、楽譜を読む/書くのに必要な知識…など、やりたいこと/やっていることに応じてッて感じです。僕のレッスンでは、生徒さんがやっている課題曲を通じて、少しずつ知識/技術を断片的に拾い食いしながら着実に血肉にしていってます。なので、「今日は理論の勉強をします」と、つまんない座学に長い時間を使うことはあんまりしていません。そうすれば自分で余分に勉強する必要はないし、要らないと感じている人に無理強いすることもありません。(音楽学校に行きたいとか、週末開業でギター講師を仕事にしたいという人には詰め込みまくりますが。)

    大事なのは理論よりも実践の方であることは言うまでもありませんが、継続できなかったら全て終わりですので。

    何からすればいい?理論を学ぶにはレッスンを受けるべき?

    理論を学ぶにはレッスンを受けた方が早いと思います。一様に「これをやればOK」と説明できたら楽なのですが、そのやり方はちょっと雑かなと思いますので、ひとまずギターやウクレレ奏者が圧倒的に欠けている”ドレミ”の場所と音感を覚えるところから始めることにしましょう。

    この指板の音を丸覚えしてください。ギター奏者の理論学習はここからです。というか、理論うんぬんの前に指板の音を覚えることは上達する上でも非常に重要です。

    やる前から「こんなの覚えたって役に立たないでしょ」と言って死んでも覚えない方もいますが、そーゆう方はもう大丈夫です。覚えられる方はまずここから始めて、次にいきましょう。まずは5-6弦の7fまででもOKです。丸暗記しちゃいましょう。若い人なら半日あれば覚えれるはず。それを3日繰り返せばもう定着するんじゃないでしょうか。

    これを覚えた後の話は、個別に案内していった方がいいと思うので、受講生の皆様はレッスンで。そうでない方は体験レッスンを受けにきてくださいまし。

    理論を学べば音楽が分かる?それとも理論はセンスを縛る?

    「理論を学べば音楽がもっと深く理解できるのではないか」とか、「音楽理論を学ぶとそれに縛られて自由に演奏できなくなる」などといった言説をよく見かけますが、これに関しては勘違いです。お疲れ様でした。

    理論を学ぶと「音楽が分かるようになる」というか、まぁ、「面白いポイントをもっと見つけやすくなる」という側面はあるかもしれませんが、分かるというのはやや抽象的ですね。

    あと、「理論がセンスを縛る」というのはよく分かりません。単に自分の演奏のダメな部分を理論のせいにしたいだけだと思います。理論は別に特効薬ではありません。そもそも知識が広がったのに技術が縛り付けられるなんてことは考えにくいです。突き抜けたらなんだって武器になります。むしろ自分の演奏が多角的に見えて、よりアクティブな感性の手助けになると思います。

    だから、「ホントはオレだってやればできるけど、音楽理論はあえて勉強してないんだ」と言ってしまうような悲しい人間にはならないでください。「黒帯になると喧嘩ができなくなるからオレは黒帯をあえて取らなかったんだ!」と言ってる大人、なんか虚しいですよね。そーゆうことです。

    よく覚えておいてください。”やらない理由”をペラペラと喋ることの方がよっぽど制限を生みます。それに気付かないのはもったいないです。

    じゃ、「何のために理論をやるんだ!」と思うでしょう。何回も言ってますが、理論はあなたができたことを言語化してくれるだけです。学んだ結果どうなるか新しいアイデアは浮かぶかもしれません。もっと広く音楽を感じるようになるかもしれません。「絶対こうなります」だなんて僕は断言できません。だって結局、演奏を良くするのは自分自身しかいないんですから。でも自分の演奏に対する解像度がグッと上がることで、視座が上がると思いますよ。

     

    Midville’s
    中村