考える音楽講師音楽理論なんて要らない?

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音楽理論なんて要らない?

ギター講師の中村です。
今日のテーマは「音楽理論なんて要らない」と言う意見についてです。

結論から言うと僕は「要らない寄りの要る派」なんです。ただこーゆうのを要る/要らないの二元論で語るのはあんまり趣味じゃないので、取り組み方にも少し触れながらこのテーマに関連する色んな考えを書いてみようと思います。

 

知識は、知っている人の味方をする

理論など後付けにすぎない

音楽を追求することは大海原で迷子になるようなものです。広く、深く、危険で、果てしない。用語は膨大で意味不明なものが多いです。どういうワケか人間は太古の昔からその膨大で意味不明なアートに親しんできました。

そもそも理論は後からできたモノで、音楽がもつ予定調和な法則やルールに名前を付け、説明したものにすぎないです。もともと音楽が先なのだから、理論も後から知るのが自然だと僕は考えています。なので初心者のうちからマジメに取り組む必要はありません。知識を得たとて飛躍的に上手くなるワケではないですからね。でもある程度自分が楽器の経験を積んだ時、なんとなく知っていることを言語化してくれるのは間違いなく理論書であり、音楽を通じて色々な気付きを得られると思います。

ギターやウクレレなど五線譜を読まなくても演奏できる楽器に慣れてしまった人にとっては学ぶには少しコツがいるかもしれませんが…。

理論が難しい理由

闇雲に勉強して、やっぱり諦めたというパターンもよくあります。難しいんです。こう見えて”学問”ですから。

古代ローマの時代に「人が持つべき基本の学問 (=リベラルアーツ)」は7つありました。文法、修辞法、論理法などの文系分野と、幾何学、算術、天文学などの理系分野。音楽はこのうち理系に含まれていたそうです。現在でも西洋諸国では音楽は”理系学問の一種”として扱われている向きが強いです。これじゃぁ難しくて当たり前ですね。

独学で行くには結構茨の道かもしれません。

全部は知らなくていい

テキストの1ページ目から最後のページまで読み込む必要はないと思います。自分がやってきたこと (できること)を説明してもらい、少しずつ理解していくことがオススメです。

なぜなら理論といっても様々で、ポピュラー音楽なのか古典音楽なのかで取り組み方は変わってくるし、楽器によっても考え方がそれぞれ違うし、使わないもの覚えたって仕方ないので、必要な分だけ人からサッと教えてもらうのがいいと思います。独学ではなく、実践を交えながら。動画は有益ですが一方通行だし、本は買って満足するのオチなんで。

「必要な分だけ」というのは例えば、作曲に必要な知識、アドリブに必要な知識、楽譜を読む/書くのに必要な知識…など、やりたいこと/やっていることに応じてッて感じです。僕のレッスンでは生徒さんのペースやモチベーションに合わせて行なっているので、自分で余分に勉強する必要はないし、要らないという人に無理強いすることもありません。(若い人には段階的にカリキュラムすることが多いですが。)

大事なのは理論よりも実践の方であることは言うまでもありませんが、継続できなかったら全て終わりですので。

指導者ならせめて...

冒頭でも書いたように、音楽を後から言語化したものが理論書なワケですから、指導者として仕事をしたい人は、受講生に伝えるための言葉を持っていた方がいいと思うんですよね。

そう言うと「そんなの知らなくても作曲もアドリブ演奏もできるようになる!」と反発される方がいます。まぁ、それはその通りなんですけど、誰も「理論を知らないと作曲もアドリブもできない」などとは言っていないのです。何度も言うように、作曲やアドリブがある程度できる人に向けたジェネリックな説明書と見なすのが適当なのであって「理論なんかなくても出来る」とドヤッて、メリットを無視するのはちょっと違うかなと。

まぁ…これだけ偉そうに言ってますが、僕はギターのことしか知らないし、それだって全部網羅してるかどうか自分ではわかりません。実際、プロ同士の現場だと演者同士の共通言語になることもあるので、不勉強で足引っ張ってる人を見ると「あーあ…」と思うことあります。そうならないように少しずつやっていこう…という意識だけはありますです…。

理論はセンスを縛るか?

理論要らない派の中には、「勉強をしすぎると、教科書通りにしか演奏できなくなり自由がなくなるからやらなくて良い」と言う人もいますが、理論がセンスを縛ることはありません。基本を知っているからこそ”型破り”な発想が生まれるので。もちろん魔法じゃないので、学習前と後でどの程度差があるかッてのは断言できませんけども、深く理解し、体に染み付くまで学んだことが技術を縛り付けるなんてことは考えにくいです。突き抜けたらなんでも武器になります。むしろ自分の演奏が多角的に見えて、よりアクティブな感性の手助けになると思います。

「やればできるけど、俺は敢えてやってないんだ」みたいなのは、実際にそうだとしても口に出さない方がよくないですか。飲み屋で隣に座ったオジが「黒帯になると警察に登録されて喧嘩ができなくなるから俺は黒帯を取らなかった。」とかなんとか言って痛い武勇伝語ってる時も同じこと感じましたね。

“やらない理由”をペラペラと喋ることがどれだけ制限を生んでいるか、気付かないのはもったいないと思います。

 

Midville’s
中村

音楽講師 / ビートメイカー

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