考える音楽講師“Unwrapped Vol.4” (Hidden Beach Recordings)

Blog

“Unwrapped Vol.4” (Hidden Beach Recordings)

講師の中村です。
My Favorite Things #7。人生で一番聴いたアルバムかもしれない。

“Unwrapped Vol.4” (Hidden Beach Recordings)
2005 【アメリカ🇺🇸 ジャズ / ヒップホップ

 

Hidden Beach Recordings (ヒドゥン・ビーチ・レコーディングス: 以下HBR)はレーベルの名前であってアーティスト名ではありません。HBRはあのモータウン・レコードのプロデューサーSteven McKeever (スティーヴン・マッキーヴァー)が発起人となって作ったレーベルでした。契約しているアーティストはモータウンと同じでアフリカ系アメリカ人が中心。ジャズシンガーのJill Scott (ジル・スコット: 下の写真)を除いてはそれほど有名な人は出ていませんが、アルバムはビルボード・チャートのトップを飾ったり、楽曲がグラミー賞に何度もノミネートされた作品があるなど実績は豊富。リリースされるアルバムの多くはコンピレーション・アルバムなどの企画モノが多く、一応今も細々とやってるみたいです。

特にHBRで人気が高いのは、ヒップホップの有名なトラックをインストで生演奏し、ワンパターンなループにとどまらず曲の展開を作ってアレンジするという発想で作られた“Unwrapped (アンラップド)”シリーズ。2023年現在まででVol.8まで存在します。正直どのアルバムも最高です。今回紹介するのは第4弾、2005年に発売されたもの。

この当時、もう名前が知れてたBusta Rhymes (バスタ・ライムス)、Kanye West (カニエ・ウエスト)や、それ以上に大流行していた50CENT (フィフティ・セント)やThe Game (ザ・ゲーム)の曲がアレンジされて収録。コテコテのヒップホップからラップを取り除いてジャズに昇華していく感じですね。

ただこれコンセプト・アルバムで、誰が演奏してるとか、誰がアレンジしたとか、分からないのがちょっと痛い。すごく良い音楽なんで、その人の別作品とか聴いてみたいんですけどね。

 

ではオススメを。

オススメ曲①

M02『21 Questions (トゥエンティ・ワン・クエスチョンズ)』は正直一番良かった。原曲は50CENT (フィフティ・セント)、客演にNate Dogg (ネイト・ドッグ)。

いつもオラオラしている50CENTですが、『21 Questions』では結構ナイーブな一面を見せてしまった事が話題でした。

当時50CENTは日本でも人気で (賛否あり)、僕はとりあえず流行ってるから聴いておこうぐらいの感じだったんですが、この曲は特に好きでした。

もし25年の懲役くらったら、
君を頼って、精神的な支えになってくれるか?
俺の車がベンツからポンコツに変わってしまったら、
君も周りの奴等みたいに俺の前から消えてしまうのかい?

さておき、この曲のトラックも、元はBarry White (バリー・ホワイト)『It’s Only Love Doing Its Thing (イッツ・オンリー・ラブ・ドゥーイング・イッツ・シング)』という曲をサンプリングしたものでした。ヒップホップには元ネタがあるので、一度に多くの名曲に出会えるのが良いですね。

Barry Whiteッてめえーっちゃ良い声してますよね。

オススメ曲②

2つ目の推しはM07『Hate It Or Love It (ヘイト・イット・オア・ラヴ・イット)』。オリジナルはThe Game (ザ・ゲーム)で50CENT (また?)を客演しています。

The Gameは元々50CENTの弟分みたいな感じで出てきて、アルバムも50CENTのアニキにプロデュースしてもらって、この曲に至っては2005年にグラミー賞2部門でノミネートされるくらい人気があった曲でした。残念ながら翌年The Gameと50CENTは銃の撃ち合いをするほどの大喧嘩をしてしまいますが。

さてこの爽やかなトラック、元ネタは何でしょうか。

The Trammps (ザ・トランプス)1975年の曲『Rubber Band (ラバー・バンド)』。甘いトラックですね。

The Trammpsは70年代に流行ったフィラデルフィア・ソウル (フィリー・ソウルとも)のバンドです。その名の通りフィラデルフィアで生まれたソウルで、僕はO’Jays (オージェイズ)とかThe Stylistics (ザ・スタイリスティクス)とかも好きです。

オススメ曲③

M11『Treat ‘Em Right (トリート・エム・ライト)』はブルージーなほとんどワンループのシンプルな曲です。オリジナルはChubb Rock (チャブ・ロック)ッていうラッパーの1991年の曲。

そしてこの曲のサンプリング曲はコチラ。

こちらもフィラデルフィアのコーラスグループFirst Choice (ファースト・チョイス)。曲は『Love Thang (ラヴ・ザング)』。あんまりよく知りませんがこの曲はカッコイイと思います。

オススメ曲④

M012『Hip Hop Hooray (ヒップホップ・フレー)』。応援の時に使う”フレー (Hooray)”ですね。とにかくこのアレンジ渋すぎで、ギターもめちゃくちゃカッコイイです。

オリジナルはNaughty By Nature (ノーティ・バイ・ネイチャー)1992年の曲。1994年にグラミー賞のパフォーマンス賞を受賞しています。めちゃくちゃチルですね。

サンプリングネタは、The Five Stairsteps (ザ・ファイヴ・ステアステップス)の1968年の曲『Don’t Change Your Love (ドント・チェンジ・ユア・ラヴ)』。トラックが全然似てないので、多分ドラム部分をサンプリングしたんでしょうね。

 

Midville’s
中村

音楽講師 / ビートメイカー

Up
H E L L O T H E R E
%d人のブロガーが「いいね」をつけました。