年増女にカツアゲされかけた話
ギター講師の中村です。
年増女にカツアゲされかけた話。
先日、用があって遅くに家を出た。自宅マンションから少しのところで、30-40代くらいの女性に声をかけられた。
「お兄さん、今からお出かけですか?」
「え?いや。」
「今現金持ってませんか?」
まぁ、この手の変な声かけはこの辺りでは珍しくないのでとりあえず「ありません。」と答えた。実際なかったし。その年増の女性は少しガッカリした感じだった。この年増の女は実はこの近所でよく見かける人物で、実はだいたいどの辺に住んでいるかも見当がついている。
「警察には届けたんですけど、どこかでサイフを失くしたみたいで。給料日まで (の2日間)お金がないから、2,000円で良いから貸してほしいんです。家に帰る交通費もないので。」
「家、近所ですよね。交通費かからんはずやけど。」
「いや、すごく遠いです。」
「大阪市内でしょ?」
「大阪市内ですけど、10kmくらいあります。」
「ここから10kmなら大阪市出ちゃうんですけど。」
すごく厄介なキャラクターなのは、見た目からなんとなく察しがついていた。まずメイクやファッションがマトモな人間のそれじゃない (偏見)。
「てかもう終電ないっすけど。どうやって帰るんですか。」
「タクシー使います。」
「タクシーで10kmッていくらかかるか分かってる?」
「いや、だから行けるところまで行くんです。」
「ふざけんな。」
「お願いします、貸してください。」
「もう行くんでどいてもらっていいですか。」
「帰れないんです!いいから早くお金おろしてきてください!!!!」
人気がなかったとはいえ、外で人に怒鳴られるのはあまりいい気分ではない。こんなシチュエーションは、免許取り立ての頃にカーシェアの車を民家のポストに擦ってしまい、人通りの多い街中で警察に20-30分間怒鳴られ続けた時以来だ。「初心者マークつけた奴がこんな細い道にチャレンジするな」と。公務員の世界のことは分からないが、一般企業では大声で怒鳴る奴と5分以上説教する奴は無能のレッテルを貼られるものだ。僕は有能な民間人なのでちゃんと警察官たちに教室のパンフレットと名刺を渡して宣伝して帰ってきた。(アホほど図太くないと個人事業なんてできん。)
話を年増女に戻すが、大声を出されたことで場が気まずくなった。
「すみません。大声出しちゃって。今日は、寝るところもないので…困ってて…。」
「警察に行けば、お金を貸してくれる制度があるはずです。」
「行きましたが、貸してもらえませんでした。」
「でも本当に困っているなら、説明するべきでしょ。よかったら一緒に行きましょうか?」
「いいんですか?」
「はい。…さっきの恐喝の件も警察に言わなくちゃいけないんで!」
年増は再び怒り出した。その時通りがかった自販機の釣り銭に手を入れると50円が入っていたので、「これいりますか?」と聞いたが、なぜか「いらない!」と言われてしまい、年増はそのまま背を向けて去っていった。念の為、視界から消えるまで目で追っていたら、僕の家の近くのマンションに入り、オートロックを解除してエレベーターに乗った。
僕は50円を自販機にそっと戻した。
Midville’s
中村
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中村
音楽講師 / ビートメイカー